完全ガイド:小網神社(東京・中央区)

小網神社(東京・中央区) 神社と寺院
小網神社(東京・中央区)

東京下町ガイド の「神社と寺院」カテゴリーでは、東京の下町エリアにあるいろいろな神社や寺院をわかりやすく紹介しています。あなたの東京観光におすすめのスポットを毎回 1 つ取り上げます。

今回の記事では、中央区の日本橋 小網町(にほんばし こあみちょう)にある 小網神社(こあみ じんじゃ)を紹介します。

この神社は強運厄除けの神社として有名です。関東大震災や東京大空襲で難を逃れたこと、第二次世界大戦に出兵した氏子が全員生きて戻れたことが理由です。

今回の記事では、小網神社に関する以下の内容をやさしく解説します。

  • 歴史
  • 祀られている神さま
  • 見どころ
  • アクセス方法
  • その他

この記事を読むことで、小網神社についてより深く理解できます。小網神社を訪れる際は、ぜひこの記事を参考にしてください。

由緒(歴史)

小網神社によると、この神社の歴史は 10 世紀にまでさかのぼります。

平安時代の中期、天台宗(てんだいしゅう)の僧侶に 恵心僧都(えんしん そうず)という人物がいました。恵心僧都は、源信(げんしん)とも呼ばれる有名な人です。

恵心僧都は、武蔵国 豊島郡(むさしのくに としまぐん)の入江に 萬福庵(まんぷくあん)という庵(いおり)を建てました。庵とは、僧侶が集中して修行するための簡素な宿泊施設のことです。

また、武蔵国 豊島郡は、現在の千代田区、中央区、港区、台東区、文京区、新宿区、渋谷区、豊島区、荒川区、北区、板橋区の一部を含む広大な地域です。

萬福庵には、恵心僧都が作ったとされる 観世音菩薩(かんぜおん ぼさつ)と 弁財天(べんざいてん)の像が祀られていました。

1466 年(文正元年)、萬福庵の近所で悪い病気が流行しました。

ある日、漁師の老人が萬福庵にやって来ました。その老人は、海に浮いていた稲の穂を持っていました。数日間、彼は萬福庵で過ごすことになりました。

漁師の老人が滞在している間、萬福庵の主人は夢の中で恵心僧都からのお告げを受けました。

恵心僧都は、「その老人を稲荷神としてまつりなさい」と言いました。そして、「そうすれば、悪い病気は消え去るでしょう」とも言いました。

翌朝、萬福庵の主人が目を覚ますと、老人は姿を消していました。

萬福庵の主人は恵心僧都からのお告げを村人たちに話しました。そして、漁師の老人を 小網稲荷大明神(こあみ いなり だいみょうじん)としてまつる神社を建てました。

庵の主人と村の人たちは、一生懸命に小網稲荷大明神に祈りました。その結果、悪い病気は収まりました。

この話は 太田道灌(おおた どうかん)にも届いており、折に触れて、彼は小網稲荷大明神を参拝しました。太田道灌は、江戸城を建てたことで知られる人です。

太田道灌は、萬福庵に土地を寄付し、小網山 稲荷院 萬福寿寺(こあみさん いなりいん まんぷくじゅじ)と名付けました。

1868 年(明治元年)、明治政府は 神仏分離令(しんぶつ ぶんり れい)を発令しました。これは、神道と仏教、神さまと仏さま、そして神社と寺院を明確に区別する法律です。

1873 年(明治 6 年)、小網稲荷大明神は萬福寿寺から独立しました。これが現在の小網神社です。

神さまとご神徳(ご利益)

倉稲魂命

小網神社の主神は、倉稲魂命(うか の みたま の みこと)です。主神とは、その神社で中心となる神さまのことです。

倉稲魂命は、穀物、農業、そして、芸能の神さまです。また、倉稲魂命は、同じく穀物をつかさどる神さまの 稲荷神(いなりしん)と同一視されます。

倉稲魂命の主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。

  • 五穀豊穣(ごこく ほうじょう):農作物がたくさん穫れる
  • 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
  • 家内安全(かない あんぜん):家族が健康で安全に過ごせる
  • 芸事上達(げいごと じょうたつ):音楽、芸術、芸能などが上達する
  • その他

市杵島姫命

市杵島姫命(いちきしまひめ の みこと)も小網神社の主神です。

市杵島姫命は、スサノオの剣から生まれた 宗像三女神(むなかた さんじょしん)の 1 柱(はしら)です。とても美しい神さまであるといわれています。

本地垂迹(ほんじすいじゃく)では、市杵島姫命は七福神の 弁財天(べんざいてん)と同一視されます。本地垂迹とは、神道の神さまは、仏教の仏さまが姿を変えて現れたものであるという考えです。

市寸島比賣命は、水と芸事の神さまです。市杵島姫命の主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。

  • 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
  • 交通安全(こうつう あんぜん):船、車、飛行機など、乗り物が安全に往来できる
  • 金運上昇(きんうん じょうしょう):お金に関する運勢が良くなる
  • 芸事上達(げいごと じょうたつ):音楽、芸術、芸能などが上達する
  • その他

福禄寿

小網神社は、七福神の 福禄寿(ふくろくじゅ)を祀っています。この神さまは、福禄人(ふくろくじん)とも呼ばれます。

福禄寿は、幸福、財産、長寿の神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。

  • 招徳人望(しょうとく じんぼう):人に慕われる
  • 金運上昇(きんうん じょうしょう):お金に関する運勢が良くなる
  • 健康長寿(けんこう ちょうじゅ):健康で長生きできる
  • その他

見どころ

萬福舟乗弁財天

小網神社の弁財天は、萬福舟乗弁財天(まんぷく ふなのり べんざいてん)と呼ばれています。小網神社の弁財天はもともと萬福寿寺にあったこと、船に乗っていることがその理由です。

萬福寿寺が廃寺となったため、萬福舟乗弁財天は小網神社に移されました。

萬福舟乗弁財天は「銭洗弁財天(ぜにあらい べんざいてん)」として知られています。境内に「銭洗いの井(ぜにあらい の い)」で硬貨を清め、それを財布に入れることで財運が向上するとのことです。

強運厄除のご神徳

小網神社は、強運厄除(きょううん やくよけ)の神社としてしられています。その理由は、次のとおりです。

  • 1923 年(大正 12 年)の 関東大震災 の際に当時の宮司が小網神社の神仏像を持って 新大橋(しんおおはし)に避難したが、新大橋自体も避難民も無事だった
  • 第二次世界大戦に出兵した氏子が全員生きて戻ることができた
  • 1945 年(昭和 20 年)の 東京大空襲 の際、境内の建物が無事だった

下町八福神(強運厄除)

小網神社は、下町八福神(したまち はちふくじん)の 1 つです。下町八福神とは、東京の中央区と台東区にある 8 つの神社のことです。

下町八福神では、それぞれの神社ごとに異なるご神徳(ご利益)があります。小網神社のご神徳は「強運厄除」です。

下町八福神すべてを参拝することを「下町八福神めぐり」や「下町八社福参り」といいます。下町八福神めぐりは、地域おこしの一環として 1981 年(昭和 56 年)に始まりました。

その名のとおり、下町八福神はすべて東京の下町にあります。8 つの神社をめぐることで、下町の名所や旧跡を楽しんだり、下町の情緒を味わったりできます。

下町八福神の詳細については、次の記事を参照してください。

各種情報

社務所の受付時間

  • 午前 9 時から午後 5 時まで

電話番号

  • 03-3668-1080

住所

  • 〒103-0016 東京都 中央区 日本橋 小網町 16-23

地図

アクセス(電車)

  • 日比谷線の 人形町駅(A2 出口)から徒歩 5 分
  • 浅草線の 人形町駅(A5 出口)から徒歩 7 分
  • 半蔵門線の 水天宮前駅(8 番出口)から徒歩 10 分
  • 東西線の 茅場町駅(10 番出口)から徒歩 15 分

アクセス(都営バス)

  • 都営バス(錦 11)の 蛎殻町 停留所 から徒歩 3 分
  • 都営バス(錦 11)の 水天宮 停留所 から徒歩 6 分
  • 都営バス(秋 26)の 水天宮 停留所 から徒歩 6 分
  • 都営バス(秋 26)の 人形町三丁目 停留所 から徒歩 6 分
  • その他

公衆トイレの有無

  • なし(1 分ほど歩いたところにある小網町児童遊園に公衆トイレがあります)

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