完全ガイド:住吉神社(東京・中央区)

住吉神社(東京・中央区) 神社と寺院
住吉神社(東京・中央区)

東京下町ガイドの「神社と寺院」カテゴリーでは、東京の下町エリアにあるいろいろな神社や寺院をわかりやすく紹介しています。あなたの東京観光におすすめのスポットを毎回 1 つ取り上げます。

今回の記事では、中央区の佃(つくだ)にある 住吉神社(すみよし じんじゃ)を紹介します。

住吉神社は、隅田川の下流にある人工の島の上に建てられた神社です。400 年以上に渡り、この神社は江戸湾(現在の東京湾)で漁業や海運業を営む人たちを守護してきました。

明治時代になると、この島は開発が進みました。現在、この神社の近所には「もんじゃストリート」で有名な 月島 があります。また、築地市場 もこの神社から歩いて行くことができます。

今回の記事では、住吉神社に関する以下の内容をやさしく解説します。

  • 歴史
  • 祀られている神さま
  • 見どころ
  • アクセス方法
  • その他

この記事を読むことで、住吉神社をより深く理解することができます。あなたが住吉神社を訪れる際は、ぜひこの記事を参考にしてください。

この記事は英語版もあります。詳細については、次の記事を参照してください。

由緒(歴史)

住吉神社(東京・中央区)
住吉神社(東京・中央区)

住吉神社によると、この神社の始まりは 3 世紀にまでさかのぼります。また、その歴史には 神功皇后(じんぐう こうごう)と 徳川家康(とくがわ いえやす)が深く関わっています。

神功皇后は、170 年(成務天皇 40 年)から 269 年(神功皇后 69 年)にかけての皇族です。彼女は、日本の第 14 代天皇である 仲哀天皇(ちゅうあい てんのう)の皇后です。

徳川家康は、1543 年(天文 11 年)から 1616 年(元和 2 年)にかけての武将です。彼は、1603年(慶長 8 年)に江戸幕府を開いたことで知られています。

200年(仲哀 9 年)、神功皇后は 住吉三神(すみよし さんじん)のお告げを受けました。住吉三神は、イザナギ が黄泉国から戻った後に海で禊(みそぎ)をしているときに現れた 3 柱の神さまです。

住吉三神はお告げの中で「新羅(しんら)と戦いなさい」と言いました。新羅は、昔の朝鮮半島にあった国です。住吉三神は、さらに「私たちを祀れば新羅に勝つことができます」とも言いました。

お告げに従い、神功皇后は朝鮮半島に出兵しました。結果として、神功皇后は、新羅だけでなく、高句麗(こうくり)と百済(くだら)も支配下に収めることができました。この戦いを 三韓征伐(さんかん せいばつ)といいます。

三韓征伐からの帰り、神功皇后は 田蓑島(たみのしま)に立ち寄りました。田蓑島は、現在の大阪市 西淀川区 佃のことです。

神功皇后は田蓑島で勝利を祝い、住吉三神を祀りました。これが田蓑島の住吉神社の始まりです。なお、この神社は、現在の 田蓑神社(たみの じんじゃ)です。

1586 年(天正 14 年)、徳川家康は、田蓑島の住吉神社をお参りしました。その際、田蓑島とその近隣の大和田村の漁民たちは、徳川家康とその一行のために渡し船を出すなど貢献しました。

それ以降、徳川家康は田蓑島と大和田村の漁民たちは深い縁を持つようになりました。また、徳川家康の指示により、田蓑島はその名前を佃村に変更しました。

1590年(天正18年)、徳川家康は江戸に移りました。その後、徳川家康は、佃村と大和田村の漁民、そして住吉神社の神主を江戸に招きました。その際、彼らには隅田川の河口にある鉄砲洲(てっぽうず)の沖に広がる干潟が与えられました。

1624 年(寛永元年)から 1645 年(正保 2 年)にかけて、彼らはその干潟に人工の島を築きました。そして、自分たちの故郷の佃村にちなんでその島の名前を佃島としました。

1646 年(正保 3 年)、佃島の人たちは、佃村(田箕島)の住吉神社を手本にして、佃島に住吉三神、神功皇后、そして徳川家康を祀る神社を建てました。それが佃の住吉神社です。

神さまとご神徳(ご利益)

住吉三神

住吉神社の主神(しゅしん)は、住吉三神(すみよし さんじん)です。主神とは、その神社で中心となる神さまのことです。

住吉三神は、神功皇后が三韓征伐を行うきっかけとなった、次の 3 柱の神さまのことです。

  • 底筒男命(そこつつ の お の みこと)
  • 中筒男命(なかつつ の お の みこと)
  • 表筒男命(うわつつ の お の みこと)

日本神話によると、住吉三神は イザナギイザナミ と深いつながりがあります。イザナギとイザナミは、日本の島や神々を生み出した夫婦の神さまです。

イザナミは火の神である カグツチ を産んだことにより、大火傷を負ってしまいました。そのため、イザナミは亡くなってしまいます。

イザナミは死者の国である黄泉国(よみのくに)へと行ってしまいました。イザナギは黄泉国にイザナミを迎えに行きましたが、結局、この 2 柱の神さまは離婚することになりました。

その後、イザナギは黄泉国の穢れ(けがれ)を清めるために海で禊(みそぎ)を行いました。イザナギが海で禊をしているとき、海の中から住吉三神が現れました。

住吉三神は、禊と海の神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。

  • 航海安全(こうかい あんぜん):安全に航海できる
  • 大漁追福(たいりょう ついふく):魚がたくさん穫れる
  • 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
  • 家内安全(かない あんぜん):家族が健康で安全に過ごせる
  • その他

息長足姫命

住吉神社は、息長足姫命(おきなが たらし ひめ の みこと)を主神として祀っています。この神さまは、神功皇后を神格化したものです。

息長足姫命は、戦いと子育ての神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。

  • 安産(あんざん):母子ともに健康に出産できる
  • 子授け(こさずけ):子どもを授かることができる
  • 子育て(こそだて):子どもが無事に成長できる
  • 家内安全(かない あんぜん):家族が健康で安全に過ごせる
  • 武運長久(ぶうん ちょうきゅう):戦いでの幸運が長く続く
  • その他

東照御親命

住吉神社は、東照御親命(あずま てるみおや の みこと)を主神として祀っています。

東照御親命は、江戸幕府の初代将軍である 徳川家康(とくがわ いえやす)のことです。東照宮(とうしょうぐう)や 東照大権現(とうしょう だいごんげん)とも呼びます。

東照御親命は、国家鎮護(こっか ちんご)の神さまです。国家鎮護とは、国を災いから守ることです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。

  • 仕事運上昇(しごとうん じょうしょう):仕事がうまくいく
  • 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
  • 家内安全(かない あんぜん):家族が健康で安全に過ごせる
  • 心願成就(しんがん じょうじゅ):神仏に強く願えば何でも叶う
  • その他

見どころ

鳥居

住吉神社(東京・中央区)
住吉神社(東京・中央区)

住吉神社には鳥居が 2 つあります。「一の鳥居」と「二の鳥居」です。

一の鳥居は、隅田川沿いに建っています。この鳥居は隅田川の対岸からも見ることができます。機会があれば、見ることをおすすめします。

また、一の鳥居から続く参道は下町の路地になっています。両脇に民家が並ぶそれは、下町らしさを楽しむことができます。

住吉神社(東京・中央区)
住吉神社(東京・中央区)

二の鳥居の見どころは 扁額(へんがく)です。扁額とは、神社の鳥居に取り付けられている額(看板)のことです。通常、その神社の名前が書かれています。扁額は 神額(しんがく)ともいいます。

この扁額は陶器でできており、題字は有栖川宮幟仁親王(ありすがわのみや たかひと しんのう)が書いたものです。幟仁親王は、江戸時代から明治時代にかけての皇族で、書家としても知られています。

二の鳥居の扁額は、1990 年(平成 2 年)に中央区民文化財に指定されています。

水盤舎

住吉神社(東京・中央区)
住吉神社(東京・中央区)

二の鳥居の右横には、水盤舎(すいばんしゃ)があります。水盤舎は、参拝する前に手や口を清めるための設備です。

水盤は 1841 年(天保 12 年)に奉納されたもので、水盤舎の建物は 1869 年(明治 2 年)に建てられたものです。また、水盤舎の欄間(らんま)には、昔の佃島周辺の漁の様子が浮き彫りで刻まれています。

住吉神社の水盤舎は、1990 年(平成 2 年)に中央区民文化財に指定されています。

鰹塚

住吉神社(東京・中央区)
住吉神社(東京・中央区)

水盤舎の後ろには 鰹塚(かつお づか)があります。鰹塚は 1953 年(昭和 28 年)に東京鰹節類卸商業協同組合が奉納したものです。この塚は、鰹の大漁祈願と感謝慰霊を目的としています。

下町八福神(交通安全)

住吉神社は、下町八福神(したまち はちふくじん)の 1 つです。下町八福神とは、東京の中央区と台東区にある 8 つの神社のことです。

下町八福神では、それぞれの神社ごとに異なるご神徳(ご利益)があります。住吉神社のご神徳は「交通安全」です。

下町八福神すべてを参拝することを「下町八福神めぐり」や「下町八社福参り」といいます。下町八福神めぐりは、地域おこしの一環として 1981 年(昭和 56 年)に始まりました。

その名のとおり、下町八福神はすべて東京の下町にあります。8 つの神社をめぐることで、下町の名所や旧跡を楽しんだり、下町の情緒を味わったりできます。

下町八福神の詳細については、次の記事を参照してください。

各種情報

社務所の受付時間

  • 午前 8 時から午後 4 時 30 分まで(参拝は随時)

電話番号

  • 03-3531-3500

住所

  • 〒104-0051 東京都 中央区 佃 1-1-14

地図

アクセス(電車)

  • 有楽町線の 月島駅(6 番出口)から徒歩 5 分
  • 大江戸線の 月島駅(6 番出口)から徒歩 5 分

アクセス(都営バス)

  • 都営バス(東 16)の 佃二丁目 停留所 から徒歩 5 分
  • 都営バス(東 16)の 月島駅前 停留所 から徒歩 6 分
  • 日立自動車交通(南循環・中央区役所→勝どき駅)の 月島スポーツ プラザ 停留所 から徒歩 5 分

公衆トイレの有無

  • 不明(近所の佃小橋に公衆トイレがあります)

参考

住吉神社オフィシャルサイト | 海上安全・渡航安全の守護神
東京都中央区佃に鎮座する住吉神社のオフィシャルサイトです。江戸湊の入口に位置し、海運業や各問屋組合をはじめ多くの人々から海上安全、渡航安全の守護神として信仰を集めました。東京下町八福神参りの参拝コースにもなっております。
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