完全ガイド:牛嶋神社(東京・墨田区)

牛嶋神社(東京・墨田区) 神社と寺院
牛嶋神社(東京・墨田区)

東京下町ガイド の「神社と寺院」カテゴリーでは、東京の下町エリアにあるいろいろな神社や寺院をわかりやすく紹介しています。あなたの東京観光におすすめのスポットを毎回 1 つ取り上げます。

今回の記事では、墨田区の向島(むこうじま)にある 牛嶋神社(うしじま じんじゃ)を紹介します。

その名のとおり、牛嶋神社は牛と縁が深いことで有名です。撫牛(なでうし)や 狛牛(こまうし)など、境内には牛にまつわるものがたくさんあります。

また、2022 年の年末から 冬のイルミネーション が始まりました。こちらも必見です。境内を彩る色鮮やかなライトがロマンチックな雰囲気を醸し出してくれます。

今回の記事では、牛嶋神社に関する以下の内容をやさしく解説します。

  • 歴史
  • 祀られている神さま
  • 見どころ
  • アクセス方法
  • その他

この記事を読むことで、牛嶋神社についてより深く理解できます。牛嶋神社を訪れる際は、ぜひこの記事を参考にしてください。

この記事には英語版もあります。詳細については、次の記事を参照してください。

由緒

牛嶋神社によると、この神社の始まりは 9 世紀にまでさかのぼります。

8 世紀の末から 9 世紀にかけて、天台宗の僧侶に 円仁(えんにん)という人物がいました。円仁は、慈覚大師(じかく だいし)の名前も持つ有名な人です。

ある日、円仁の前に 須佐之男命(すさのお の みこと)が老人の姿で現れました。須佐之男命は、戦いと農業の神さまです。

須佐之男命は「私のために神社を建てなさい」と言いました。また、「この地に災いが起きたとき、私は恐ろしい牛の姿で現れて人びとを守ります」と約束しました。

860 年(貞観 2 年)、円仁は須佐之男命を祀る神社を建てました。この神社は 牛御前神社(うしの ごぜん しゃ)と名づけられました。

明治時代になると、牛御前社はその名前を牛嶋神社に変えました。

神さまとご神徳(ご利益)

須佐之男命

牛嶋神社の主神(しゅしん)は、須佐之男命(すさのお の みこと)です。主神とは、その神社で中心となる神さまのことです。

須佐之男命は、太陽神である 天照大神(あまてらす おおみかみ)の弟です。また、神仏習合では 牛頭天王(ごず てんのう)と同一視されています。

須佐之男命は、海、嵐、農業の神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。

  • 除災招福(じょさいしょうふく):あらゆる災いを取り除く
  • 家内安全(かない あんぜん):家族が健康で安全に過ごせる
  • 五穀豊穣(ごこく ほうじょう):農作物がたくさん穫れる
  • その他

天之穂日命

天之穂日命(あめ の ほひ の みこと)も牛嶋神社の主神です。

天之穂日命は、太陽神である 天照大御神(あまてらす おおみかみ)と須佐之男命が誓約(うけい)をしたときに生まれた神様です。誓約とは、古代の日本で行なわれた占いの一種のことです。

天之穂日命は、稲穂と農業の神さまです。この神様の主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。

  • 農業守護(のうぎょう しゅご):農業が発展する
  • 五穀豊穣(ごこく ほうじょう):農作物がたくさん穫れる
  • 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
  • 家内安全(かない あんぜん):家族が健康で安全に過ごせる
  • 学業成就(がくぎょう じょうじゅ):学問に関する願いが叶う
  • その他

貞辰親王命

貞辰親王命(さだとき しんのう の みこと)も牛嶋神社の主神です。貞辰親王命は、日本の第 56 代天皇である 清和天皇(せいわてんのう)の第 7 皇子を神格化したものです。

牛嶋神社の社伝によると、貞辰親王は 938 年(天慶元年)にこの地で没したのが縁とされています。

この神さまのご神徳(ご利益)について調べましたが、特に情報を得ることはできませんでした。恐らく、地元の守り神といったところかと思われます。

宇迦之御魂神

境内社(けいだいしゃ)の 小梅稲荷神社(こうめ いなり じんじゃ)では、宇迦之御魂神(うかのみたま の かみ)を祀っています。境内社とは、神社の境内にある小さな社のことです。

宇迦之御魂神は、穀物、農業、そして、芸能の神さまです。また、宇迦之御魂神は、同じく穀物をつかさどる神さまの 稲荷神(いなりしん)と同一視されます。

宇迦之御魂神の主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。

  • 五穀豊穣(ごこく ほうじょう):農作物がたくさん穫れる
  • 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
  • 家内安全(かない あんぜん):家族が健康で安全に過ごせる
  • 芸事上達(げいごと じょうたつ):音楽、芸術、芸能などが上達する
  • その他

見どころ

三輪鳥居

牛嶋神社(東京・墨田区)
牛嶋神社(東京・墨田区)

牛嶋神社の入り口には、「三輪鳥居(みわ とりい)」と呼ばれる珍しい鳥居があります。三輪鳥居は、ふつうの鳥居の左右に小さな鳥居が付いています。

三輪鳥居は 三ツ鳥居(みつ とりい)とも呼ばれます。東京では、中央区の 三輪神社(みわ じんじゃ)にも同じものがあります。

牛嶋神社の三輪鳥居は2018 年(平成 30 年)の台風で壊れましたが、2019 年(令和元年)に建て直されています。

現在の鳥居は、樹齢 170 年の天然のヒノキを使っています。また、飾り金物を取り付ける以外に釘を使っていません。

社殿

牛嶋神社(東京・墨田区)
牛嶋神社(東京・墨田区)

牛嶋神社の社殿は、「総檜の権現造り(ごんげん づくり)」と呼ばれる建物です。その特徴は、以下の 3 つの建物が繋がっていることです。

  • 本殿(ほんでん):神さまを祀るための建物
  • 幣殿(へいでん):儀式を行うための建物
  • 拝殿(はいでん):参拝するための建物

権現造りは、江戸時代の初期の代表的な神社の建築様式です。

牛嶋神社の社殿は、1923 年(大正 12 年)の関東大震災で焼失しています。現在の社殿は、1932 年(昭和 7 年)に現在地に移ったときに新しく建てらたものです。

撫牛

牛嶋神社(東京・墨田区)
牛嶋神社(東京・墨田区)

牛嶋神社は、昔から 撫牛信仰(なでうし しんこう)で有名です。撫牛信仰では、牛の石像を撫でながら健康を祈ります。

牛嶋神社には、撫牛のための像があります。この撫牛は、1825 年(文政 8 年)に作られたものです。それ以前は、牛の形をした自然の石でした。

お祈りの方法は簡単です。

  1. 自分の身体の悪い部分をなでます。
  2. この撫牛の同じ部分をなでます。

これで病気や怪我が治ると信じられています。また、牛嶋神社の撫牛は、身体の不調だけではなく、心の不調にも効果があるといわれています。

それ以外にも、この撫牛に「よだれかけ」をお供えする風習があります。その「よだれかけ」を生まれたばかりの子どもが使うと、その子どもは健康に育つといわれています。

狛牛

牛嶋神社(東京・墨田区)
牛嶋神社(東京・墨田区)

牛嶋神社は、日本でも珍しい 狛牛(こまうし)が奉納されています。

牛嶋神社のある地域は、8 世紀の初めごろに国営の牧場がありました。また、主神の 須佐之男命(すさのお の みこと)は 牛頭天王(ごず てんのう)と同一視されています。牛頭天王は牛の頭を持つ神さまです。

以上の理由から、牛嶋神社は牛と縁が深い神社です。狛牛が奉納されているのもこれが理由でしょう。

狛犬

牛嶋神社(東京・墨田区)
牛嶋神社(東京・墨田区)

牛嶋神社では、狛犬も奉納されています。牛島神社は古い歴史の神社であるため、この神社の狛犬もとても古いものです。

牛嶋神社で最も古い狛犬は、1729 年(享保 14 年)に奉納されたものです。これは墨田区でもっとも古い狛犬です。

牛嶋神社(東京・墨田区)
牛嶋神社(東京・墨田区)

冬の季節限定となりますが、牛嶋神社では、東京スカイツリー を背景に狛犬の写真を撮ることができます。それ以外の季節では、イチョウの木の葉が東京スカイツリーを隠しているので注意してください。

なお、牛嶋神社は東京スカイツリーの 氏神(うじがみ)です。氏神とは、その土地の守り神のことです。つまり、東京スカイツリーも牛嶋神社の神さまが守護していることになります。

ウィンター イルミネーション

牛嶋神社(東京・墨田区)
牛嶋神社(東京・墨田区)

2022 年の 11 月から牛嶋神社で冬のイルミネーションが始まりました。境内を彩る色鮮やかなライトがロマンチックな雰囲気を醸し出してくれます。

牛嶋神社の冬のイルミネーションの詳細については、次の記事を参照してください。

各種情報

社務所の受付時間(開門時間)

  • 夏時間(4 月から 9 月までの期間):午前 5 時から午後 6 時まで
  • 冬時間(10 月から 3 月までの期間):午前 5 時 30 分から午後 5 時まで

電話番号

  • 03-3622-0973

住所

  • 〒131-0033 東京都 墨田区 向島 1-4-5

地図

アクセス(電車)

  • 浅草線の 本所吾妻橋駅(A3 出口)から徒歩 10 分
  • 東武伊勢崎線の とうきょうスカイツリー駅(正面改札口)から徒歩 10 分
  • 東武伊勢崎線の 浅草駅(北改札口)から徒歩 10 分

アクセス(区内循環バス)

  • 区内循環バス(南部ルート)の 本所吾妻橋北 停留所 から徒歩 6 分

区内循環バス「すみだ百景 すみまるくん、すみりんちゃん」は、墨田区のコミュニティ バスです。墨田区を観光する場合、区内循環バスはとても便利です。

アクセス(都営バス)

  • 都営バス(上 26)の 言問橋 停留所 から徒歩 3 分
  • 都営バス(草 39)の 言問橋 停留所 から徒歩 3 分
  • 都営バス(業 10)の 言問橋 停留所 から徒歩 3 分

公衆トイレの有無

  • なし(隣接する墨田公園に公衆トイレがあります)

参考

すみだスポット - 牛嶋神社 | 一般社団法人 墨田区観光協会【本物が生きる街 すみだ観光サイト】
牛嶋神社【うしのごぜん社】 - 東京都神社庁
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