完全ガイド:待乳山聖天(東京・台東区)

待乳山聖天(東京・台東区) 神社と寺院
待乳山聖天(東京・台東区)

東京下町ガイドの「神社と寺院」カテゴリーでは、東京の下町エリアにあるいろいろな神社や寺院をわかりやすく紹介しています。あなたの東京観光におすすめのスポットを毎回 1 つ取り上げます。

今回の記事では、台東区の浅草にある 待乳山聖天(まつちやま しょうでん)を紹介します。

待乳山聖天は、聖観音宗(しょうかんのんしゅう)の寺院です。聖観音宗は、浅草寺(せんそうじ)を本山とする宗派です。

待乳山聖天の正式名称は、待乳山 本龍院(まつちやま ほんりゅういん)です。しかし、本尊の 大聖歓喜天(だいしょうかんぎてん)の別名が聖天であるため、昔から待乳山聖天の名前で親しまれています。

待乳山聖天は、東京で一番低い山といわれる 待乳山 の上に建てられています。この寺院はモノレールも完備しているため、どなたでも気軽に参拝することができます。

今回の記事では、待乳山聖天に関する以下の内容をやさしく解説します。

  • 歴史
  • 祀られている仏さま
  • 見どころ
  • アクセス方法
  • その他

この記事を読むことで、待乳山聖天についてより深く理解できます。待乳山聖天を訪れる際は、ぜひこの記事を参考にしてください。

この記事には英語版もあります。詳細については、次の記事を参照してください。

由緒(歴史)

待乳山聖天(東京・台東区)
待乳山聖天(東京・台東区)

待乳山聖天によると、この寺院の始まりは 6 世紀にまでさかのぼります。

595 年(推古 3 年)、この地域の土地が盛り上がり、一夜で待乳山(まつちやま)ができました。そのとき、金色の龍が現れて待乳山を守ったとのことです。

601 年(推古 9 年)、この地域にひどい干ばつが起きました。飲む水や食べる物がなくなり、地元の人びとはとても困りました。

そのとき、十一面観世音菩薩(じゅういちめん かんぜおん ぼさつ)が 大聖歓喜天(だいしょう かんぎてん)の姿で現れて地元の人びとを救いました。

十一面観世音菩薩は、慈悲と思いやりの仏さまです。11 の顔と千本の腕を持ちます。それらの意味は、次のとおりです。

  • 11 の顔:それぞれ異なる種類の慈悲を表しています。
  • 千本の腕:人びとを救済するためのさまざまな方法を表しています。

十一面観世音菩薩(観世音菩薩)は、多くの人びとの苦しみや願いを聞くため、相手に応じていろいろな姿に変化(へんげ)するといわれています。今回の場合、大聖歓喜天の姿がそれにあたります。

大聖歓喜天に感謝した人びとは、この仏さまのための寺院を待乳山に建てました。これが待乳山聖天の始まりです。

仏さまとご利益

待乳山聖天(東京・台東区)
待乳山聖天(東京・台東区)

大聖歓喜天

待乳山聖天の本尊は、大聖歓喜天(だいしょう かんぎてん)です。大聖歓喜天は、歓喜天(かんぎてん)や 聖天(しょうでん)さまの名前でも知られています。

大聖歓喜天は、ヒンドゥー教の神さまである ガネーシャ を起源にもちます。そのため、大聖歓喜天も象の頭と人間の体を持ちます。

ガネーシャは、もともと障害を司る悪い神さまでした。しかし、十一面観音菩薩の教えによって改宗し、ガネーシャは大聖歓喜天として仏教を守護する善い神さまになりました。

大聖歓喜天は、障害や困難を取り除き、幸運や財運をもたらす神さまです。大聖歓喜天の主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。

  • 夫婦和合(ふうふ わごう):夫婦が仲良く暮らせる
  • 子孫繁栄(しそん はんえい):自分の子どもや孫たちが幸せに暮らせる
  • 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
  • その他

毘沙門天

待乳山聖天は、七福神の 毘沙門天(びしゃもんてん)を祀っています。毘沙門天は、ヒンドゥー教の神さまのクベーラ(北方の守護神)が起源です。

毘沙門天は、仏教の四天王の 1 人です。四天王とは、仏教の世界の中心にある 須弥山(しゅみせん)の中腹の四方に住み、仏教を守護する神さまのことです。

毘沙門天は勝負の神さまです。毘沙門天の主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。

  • 勝負運向上(しょうぶうん こうじょう):勝負に勝てる
  • 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
  • 金運上昇(きんうん じょうしょう):お金に恵まれる
  • その他

見どころ

大根と巾着袋

待乳山聖天(東京・台東区)
待乳山聖天(東京・台東区)

待乳山聖天の境内では、あちらこちらに大根や巾着袋を見かけます。これらは、大聖歓喜天のご神徳(ご利益)を表現したものです。

大根の意味は、次のとおりです。

  • 夫婦和合(ふうふ わごう):夫婦が仲良く暮らせる
  • 子孫繁栄(しそん はんえい):自分の子どもや孫たちが幸せに暮らせる
  • 縁結び(えんむすび):良い相手に出会える
  • 無病息災(むびょう そくさい):健康に暮らせる

また、巾着袋は砂金袋をあらわしています。巾着袋の意味は、次のとおりです。

  • 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく

大根のお供え

待乳山聖天(東京・台東区)
待乳山聖天(東京・台東区)

待乳山聖天では、大聖歓喜天にお祈りするときに大根をお供えする習慣があります。お供え用の大根は、事務所で 200 円で買うことができます。また、自分で持ってた大根をお供えすることもできます。

本堂に向かって右側の寺務所では、大根の「お下がり」を配布しています。この大根は、他の参拝者が大聖歓喜天にお供えしたものです。

お下がりの大根を食べることで、大聖歓喜天のご神徳(ご利益)を得られるといわれています。

浴油祈祷

待乳山聖天(東京・台東区)
待乳山聖天(東京・台東区)

欲油祈祷(よくゆ きとう)とは、大聖歓喜天の力をよりいっそう高めるための秘法です。

大聖歓喜天は、仏教世界の天界に住む神さまです。天界に住む神さまは、まだ悟りを開いていないため煩悩が残っています。

油浴祈祷では、清浄な油を使って大聖歓喜天の煩悩を洗い流します。これにより、大聖歓喜天の徳がさらに高まるとされています。

待乳山聖天で欲油祈祷をお願いすると、行者が 1 週間にわたり欲油祈祷を行います。その結果、どのようなお願いでも叶うといわれています。

さくらレール(モノレール)

待乳山聖天(東京・台東区)
待乳山聖天(東京・台東区)

待乳山聖天の東側の駐車場には、待乳山の山頂まで続く さくらレール(モノレール)があります。待乳山の高さは約 10m なので、さくらレールは日本で一番短いモノレールといわれています。

お参りする人は、さくらレールを無料で使うことができます。利用できる時間は、午前 7 時から午後 4 時 30 分までです。さくらレールを利用する際、座席は 2 つしかないので注意してください。

築地塀

待乳山聖天(東京・台東区)
待乳山聖天(東京・台東区)

築地塀(ついじべい)とは、泥と瓦を交互に重ねて作った丈夫な壁のことです。待乳山聖天の参道の階段をのぼりきると、右側に築地塀が残っています。

安土桃山時代(16 世紀)、武士の家や寺院は、防犯のために築地塀を使いました。

現在の東京に築地塀はほとんど残っていません。待乳山聖天の他には、港区 赤坂の 報土寺(ほうどうじ)と台東区 谷中の 観音寺(かんのんじ)に残っています。

待乳山聖天の築地塀は、歌川広重(うたがわ ひろしげ)の浮世絵にも描かれています。この浮世絵は、江戸時代の人びとの生活を知ることができる大切な資料です。

日本庭園

待乳山聖天(東京・台東区)
待乳山聖天(東京・台東区)

待乳山聖天の境内には、美しい日本庭園があります。この庭園では、紫陽花、しだれ桜、椿、紅葉など、さまざまな草木を楽しむことができます。

また、庭園内の池には大きな錦鯉が泳いでいます。それ以外にも境内守護と家内安全のためのお地蔵さまが祀られています。

この庭園は、参拝者に無料開放されています。午前 9 時から午後 4 時までなら自由に散策することができます。

浅草名所七福神(毘沙門天)

待乳山聖天の毘沙門天は、浅草名所七福神(あさくさ などころ しちふくじん)の 1 柱(はしら)です。浅草名所七福神とは、東京都の台東区と荒川区にある 9 つの社寺に祀られている七福神のことです。

浅草名所七福神めぐりは、おすすめの浅草観光の 1 つです。通常、七福神めぐりは正月に行いますが、浅草名所七福神めぐりはいつでも楽しむことができます。

浅草名所七福神の詳細については、つぎの記事を参照してください。

各種情報

寺務所の受付時間

  • 午前 9 時から午後 4 時まで(お参りできる時間は午前 6 時から午後 4 時まで)

電話番号

  • 03-3874-2030

住所

  • 〒111-0032 東京都 台東区 浅草 7-4-1

地図

アクセス(電車)

  • 銀座線の 浅草駅(7 番出口)から徒歩 10 分
  • 浅草線の 浅草駅(7 番出口)から徒歩 10 分
  • 東武伊勢崎線(東京スカイツリー ライン)の 浅草駅(北出口)から徒歩 10 分

浅草駅から待乳山聖天まで歩く場合、次の記事を参照してください。

アクセス(めぐりんバス)

  • 北めぐりん(浅草まわり)の 隅田公園 停留所(停留所の番号:3 番)から徒歩 1 分
  • ぐるーりめぐりんの リバーサイド スポーツ センター前 停留所(停留所の番号:16 番)から徒歩 4 分

めぐりんバスは台東区のコミュニティ バスです。台東区を観光する場合、めぐりんバスはとても便利です。めぐりんバスの詳細については、次の記事を参照してください。

アクセス(都バス)

  • 都営バス(上 26)の 隅田公園 停留所 から徒歩 2 分
  • 都営バス(東 42-1)の 隅田公園 停留所 から徒歩 2 分
  • 都営バス(東 42-2)の 隅田公園 停留所 から徒歩 2 分
  • 都営バス(東 42-3)の リバーサイド スポーツ センター前 停留所 から徒歩 4 分

公衆トイレの有無

  • あり(駐車場のモノレール乗り場の横に公衆トイレがあります)

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