東京下町ガイド の「見どころ」カテゴリーでは、東京の下町エリアにある観光名所を紹介しています。あなたの東京観光におすすめのスポットを毎回 1 か所取り上げます。
今回取り上げるのは、台東区にある 浅草寺(せんそうじ)の 銭塚地蔵堂(ぜにづか じぞうどう) です。
銭塚地蔵尊は、浅草寺の境内の北西にあります。そのため、浅草寺の裏手を通って奥浅草(おくあさくさ)へ行くことでもない限り、この施設には気が付かないかもしれません。
この記事では、浅草寺の銭塚不動尊の詳細を紹介します。あなたが東京下町めぐりや浅草観光をする際の参考にしてください。
由緒(歴史)
浅草寺によると、銭塚地蔵堂の始まりは 18 世紀にまでさかのぼります。
江戸時代の中期、摂津国(せっつのくに)の有馬郡(ありまぐん)に山口という武士の一家がいました。摂津国は、現在の大阪府の北中部と兵庫県の南東部です。
一家は裕福ではありませんでしたが、一家の妻は武士の家族として誇り高く生きていました。そのため、他人からの援助を断って生活していました。
ある日、一家の子どもたちが庭先で貨幣がたくさん入った壺を掘り当てました。
しかし、妻は理由のないお金を自分たちのものにするのは恥と考えました。彼女は、壺のお金に頼って働かずにいては家が滅びる考えたのです。結局、彼女は子どもたちに壺を埋め戻させました。
この妻の心がけによって子どもたちは立派に成長しました。そして、一家は繁栄することができました。
後日、一家は壺を埋め戻した場所に地蔵尊を祀りました。これが、現在の兵庫県 西宮市にある 銭塚地蔵尊(ぜにづか じぞうそん)です。
その後、一家の次男が浅草に出てきた際、自宅の庭に祀っていた銭塚地蔵尊を浅草にも祀りました。これが浅草寺の銭塚地蔵堂の始まりです。
祀られている仏さまとご利益
銭塚地蔵尊
銭塚地蔵堂は、銭塚地蔵尊(ぜにづか じぞうそん)を祀っています。この地蔵菩薩の主なご利益は、次のとおりです。
- 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
- その他
銭塚地蔵尊は 六地蔵尊(ろくじぞうそん)のことです。六地蔵尊とは、仏教の六道(ろくどう)でさまよう人びとを救う仏さまのことです。
六道とは、次の 6 つの世界を指します。
- 地獄道(じごくどう)
- 餓鬼道(がきどう)
- 畜生道(ちくしょうどう)
- 阿修羅道(あしゅらどう)
- 人間道(にんげんどう)
- 天道(てんどう)
の 6 つの世界のことです。
仏教によると、私たちは生前の行いにより、死後に六道のいずれかに送られるといわれます。
見どころ
カンカン地蔵
銭塚地蔵堂の本堂に向かって右側に「カンカン地蔵尊」が祀られています。カンカン地蔵尊に塩をお供えし、カンカン地蔵尊を石で叩くと金運が良くなるといわれています。
カンカン地蔵尊の名前の由来ですが、石で叩いたときに「カン、カン」という音がするからとのことです。
石で叩かれ過ぎたためか、カンカン地蔵は原型を留めていません。説明板がなかったら、誰も地蔵だとは気が付かないでしょう。