東京下町ガイド の「神社」カテゴリーでは、東京の下町エリアにあるいろいろな神社をわかりやすく紹介しています。あなたの東京観光におすすめのスポットを毎回 1 つ取り上げます。
今回の記事では、台東区の松が谷にある 矢先稲荷神社(やさき いなり じんじゃ)を紹介します。
矢先稲荷神社は、かつて浅草にあった江戸三十三間堂を守護するために建てられました。江戸三十三間堂は江東区の深川に移転しましたが、この神社は、元の場所に残りました。
矢先稲荷神社の拝殿の天井には、乗馬をモチーフにした、100 枚の絵が奉納されています。これらの絵には、歴史上の有名人が描かれています。
今回の記事では、矢先稲荷神社に関する以下の内容をやさしく解説します。
- 歴史
- 祀られている神さま
- 見どころ
- アクセス方法
- その他
この記事を読むことで、矢先稲荷神社についてより深く理解できます。矢先稲荷神社を訪れる際は、ぜひこの記事を参考にしてください。
由緒(歴史)
矢先稲荷神社によると、この神社の始まりは 17 世紀にまでさかのぼります。
1642 年(寛永 19 年)、江戸幕府第 3 代将軍の 徳川 家光(とくがわ いえみつ)は、浅草三十三間堂(あさくさ さんじゅうさんげんどう)を建てました。これは、京都の三十三間堂を模したものです。
徳川 家光が浅草三十三間堂を建てた理由は、武芸振興のためです。つまり、武術や武芸の技術を向上させ、発展させるためです。
矢先稲荷神社は、その浅草三十三間堂を守護するために建てられました。
1698 年(元禄 11 年)、勅額火事(ちょくがく かじ)と呼ばれる大火事がありました。この大火事は、現在の中央区、千代田区、そして台東区にあたる地域に広がりました。
浅草三十三間堂と矢先稲荷神社もこの大火事の被害にあいました。
1701 年(元禄 14 年)、浅草三十三間堂は、江東区の深川に移りました。しかし、地元住民の願いにより、矢先稲荷神社はそのまま浅草地区に残りました。
1945 年(昭和 20 年)、東京大空襲により、矢先稲荷神社の社殿を焼失しました。現在の社殿は 1960 年(昭和 35 年)に新しく建てられたものです。
神さまとご神徳(ご利益)
倉稲魂命
矢先稲荷神社の主神は、倉稲魂命(うか の みたま の みこと)です。主神とは、その神社で中心となる神さまのことです。
倉稲魂命は、穀物、農業、そして、芸能の神さまです。また、倉稲魂命は、同じく穀物をつかさどる神さまの 稲荷神(いなりしん)と同一視されます。
倉稲魂命の主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。
- 五穀豊穣(ごこく ほうじょう):農作物がたくさん穫れる
- 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
- 家内安全(かない あんぜん):家族が健康で安全に過ごせる
- 芸事上達(げいごと じょうたつ):音楽、芸術、芸能などが上達する
- その他
福禄寿
矢先稲荷神社は、七福神の 福禄寿(ふくろくじゅ)を祀っています。この神さまは、福禄人(ふくろくじん)とも呼ばれます。
福禄寿は、幸福、財産、長寿の神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。
- 招徳人望(しょうとく じんぼう):人に慕われる
- 金運上昇(きんうん じょうしょう):お金に関する運勢が良くなる
- 健康長寿(けんこう ちょうじゅ):健康で長生きできる
- その他
見どころ
日本乗馬史の天井画
矢先稲荷神社の拝殿の天井には、乗馬をモチーフにした 100 枚の絵が奉納されています。これらの絵には、日本の初代天皇である 神武天皇(じんむ てんのう)から昭和の軍人である 西 竹一(にし たけいち)までの歴史上の有名人が描かれています。
これらの天井絵は、現在の社殿を再建する際に日本画家の 海老名 駿堂(えびな しゅんどう)に依頼したもので、1964 年(昭和 39 年)に奉納されました。
天井画は一般開放されているため、誰でも無料で閲覧することができます。ただし、本殿に上がる際に履物を脱ぐため、靴下、ストッキング、または足袋を履いている必要があります。
また、トム・クルーズ主演のハリウッド映画「ラスト・サムライ」の公式ガイド ブックでもこの天井絵が 10 枚ほど紹介されているとのことです。現在はこのガイド ブックは絶版になっているため、天井絵のどれが紹介されているのかを確認できませんでした。
日本乗馬史の天井画は以下の Web サイトでも公開されています。矢先稲荷神社を訪問する前に確認するのも良いかもしれません。
浅草名所七福神(福禄寿)
矢先稲荷神社の福禄寿は、浅草名所七福神(あさくさ などころ しちふくじん)の 1 柱(はしら)に数えられています。浅草名所七福神とは、東京都の台東区と荒川区にある 9 つの社寺に祀られている七福神のことです。
浅草名所七福神めぐりは、おすすめの浅草観光の 1 つです。通常、七福神めぐりは正月に行いますが、浅草名所七福神めぐりはいつでも楽しむことができます。
浅草名所七福神の詳細については、次の記事を参照してください。
各種情報
社務所の受付時間
- 午前 9 時から午後 4 時 30 分
電話番号
- 03-3844-0652
住所
- 〒111-0036 東京都 台東区 松が谷 2-14-1
地図
アクセス(電車)
- 銀座線の 田原町駅(エレベーター出口)から徒歩 7 分
- 銀座線の 稲荷町駅(3 番出口)から徒歩 10 分
- つくばエクスプレス線の 浅草駅(A2 出口)から徒歩 11 分
田原町駅から矢先稲荷神社までの道のりについては、次の記事を参照してください。
アクセス(めぐりんバス)
- 東西めぐりん(上野公園まわり)の 松が谷 停留所 (停留所の番号:28 番)から徒歩 3 分
- 東西めぐりん(鶯谷駅まわり)の 松が谷 停留所 (停留所の番号:28 番)から徒歩 3 分
- 南めぐりんの 菊屋橋 停留所(停留所の番号:19-2 番)から徒歩 4 分
- 南めぐりんの 松が谷 停留所 (停留所の番号:23 番)から徒歩 3 分
バスを降りたら、東(東京スカイツリーが見える方向)に向かって 1 分ほど歩きます。右に「肉のマルタケ」というお店が見えたら、そこを右に曲がります。「肉のマルタケ」から 2 分くらい歩くと矢先稲荷神社があります。
めぐりんバスは台東区のコミュニティ バスです。台東区を観光する場合、めぐりんバスはとても便利です。めぐりんバスの詳細については、次の記事を参照してください。
アクセス(都営バス)
- 都営バス(上 23)の 菊屋橋 停留所 から徒歩 3 分
- 都営バス(上 46)の 菊屋橋 停留所 から徒歩 3 分
- 都営バス(草 39)の 菊屋橋 停留所 から徒歩 3 分
- 都営バス(S-1)の 菊屋橋 停留所 から徒歩 3 分
停留所の目の前に八幡屋茶舗と吉田法衣店があります。その間の通りを入り、さらに 3 分ほど歩くと矢先稲荷神社に着きます。
公衆トイレの有無
- なし(近所のコンビニエンス ストアや松葉公園のトイレを利用することができます)