藏前神社(台東区)

藏前神社(台東区) 神社
藏前神社(台東区)

東京下町ガイド の「神社」カテゴリーでは、東京の下町エリアにあるいろいろな神社をわかりやすく紹介しています。あなたの東京観光におすすめのスポットを毎回 1 つ取り上げます。

今回の記事では、台東区の蔵前(くらまえ)にある 藏前神社(くらまえ じんじゃ)を紹介します。

江戸時代には、藏前神社の境内で大相撲の興行が行なわれていました。そのため、この神社は「大相撲の聖地」ともいわれています。

今回の記事では、藏前神社に関する以下の内容をやさしく解説します。

  • 歴史
  • 祀られている神さま
  • 見どころ
  • アクセス方法
  • その他

この記事を読むことで、藏前神社についてより深く理解できます。あなたが藏前神社を訪れる際は、ぜひこの記事を参考にしてください。

由緒(歴史)

藏前神社によると、この神社の始まりは 17 世紀にまでさかのぼります。

1693 年(元禄 6 年)、江戸幕府 第 5 代将軍 徳川綱吉(とくがわ つなよし)は、山城国(やましろのくに)の 石清水八幡宮(いわしみず はちまんぐう)から や 八幡神(はちまんしん)を蔵前に勧請(かんじょう)しました。

山城国は現在の京都府です。 また、八幡神は、日本の第 15 代天皇である 應神天皇(おうじん てんのう)と同一とされる神さまです。

勧請にはいろいろな意味があります。この場合の勧請とは、神さまや仏さまの分霊(ぶんれい)を他の場所で祀ることです。分霊しても元の神さまや仏さまに影響はないとされています。

これが藏前神社の始まりです。当時は山城国の神社と同じ「石清水八幡宮」という名前でした。

徳川綱吉が蔵前に石清水八幡宮を勧請した理由は、江戸城の鬼門(きもん)を守るためです。鬼門とは東北の方角のことです。昔の人たちは、この方角から鬼がやってきて悪いことをすると信じていました。

江戸城の鬼門に神社や寺院を建てることで、徳川綱吉は江戸幕府の安泰と人びとの平安を願ったのです。神田明神(かんだ みょうじん)や 寛永寺(かんえいじ)も同じ理由で建てられました。

1732 年(享保 17 年)、蔵前の石清水八幡宮は火災の被害を受けています。そのため、浅草 三嶋町(あさくさ みしまちょう)に移転しました。浅草 三嶋町は、現在の台東区 寿 4 丁目あたりです。

1744 年(延享元年)、当時の寺社奉行(じしゃ ぶぎょう)だった 大岡忠相(おおおか ただすけ)の命により、石清水八幡宮は元の場所である蔵前に移転しました。

寺社奉行とは、江戸時代に設置された役職のひとつです。幕府によって任命され、寺院や神社などの寺社に関する監督や管理を担当しました。

大岡忠相は、江戸時代の中期に活躍した大名です。大岡越前守(おおおか えちぜん の かみ)の名前で知られています。時代劇ドラマ「大岡越前」の主人公です。

1873 年(明治 6 年)、名称を石清水八幡宮から 石清水神社(いわしみず じんじゃ)に変更しました。しかし、1886 年(明治 19 年)、名称を石清水八幡宮に戻しています。

1923 年(大正 12 年)の関東大震災、および 1945 年(昭和 20 年)の東京大空襲で石清水八幡宮は社殿を焼失しました。

1951 年(昭和 26 年)、名称を石清水八幡宮から藏前神社に変更しました。

神さまとご神徳(ご利益)

應神天皇

藏前神社の主神(しゅしん)は、應神天皇(おうじん てんのう)です。主神とは、その神社で中心となる神さまのことです。

應神天皇は、日本の第 15 代天皇を神格化したものです。この神さまは、誉田別命(ほんたわけ の みこと)や 八幡神(はちまんしん)とも呼ばれています。

應神天皇は、戦いの神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。

  • 武運長久(ぶうん ちょうきゅう):戦いでの幸運が長く続く
  • 勝負運向上(しょうぶうん こうじょう):勝負に勝てる
  • 除災招福(じょさいしょうふく):あらゆる災いを取り除く
  • その他

神功皇后

神功皇后(じんぐう こうごう)も藏前神社の主神です。神功皇后は應神天皇の母にあたります。この 息長足姫命(おきなが たらし ひめ の みこと)ともいいます。

神功皇后は、戦いと子育ての神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。

  • 安産(あんざん):母子ともに健康に出産できる
  • 子授け(こさずけ):子どもを授かることができる
  • 子育て(こそだて):子どもが無事に成長できる
  • 家内安全(かない あんぜん):家族が健康で安全に過ごせる
  • 武運長久(ぶうん ちょうきゅう):戦いでの幸運が長く続く
  • その他

姫大神

姫大神(ひめ の おおかみ)も藏前神社の主神です。

姫大神は、スサノオの剣から生まれた 宗像三女神(むなかたさんじょしん)のことです。宗像三女神とは、次の 3 柱のことを指します。

  • 多紀理毘賣命(たぎりびめ の みこと)
  • 市寸島姫命(いちきしまひめ の みこと)
  • 多岐津毘賣命(たぎつひめ の みこと)

宗像三女神は、玄界灘(げんかいなだ)を守護する水の女神です。玄界灘とは、九州の北西部に広がる海域のことです。

神功皇后が 三韓征伐(さんかん せいばつ)を行った際、神功皇后に航路を示したのが宗像三女神といわれています。

三韓征伐とは、神功皇后が 住吉三神(すみよし さんじん)のお告げに従って行った朝鮮半島への出兵のことです。三韓征伐の詳細については、次の記事を参照してください。

宗像三女神の主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。

  • 航海安全(こうかい あんぜん):安全に航海できる
  • 交通安全(こうつう あんぜん):船、車、飛行機など、乗り物が安全に往来できる
  • 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
  • 金運上昇(きんうん じょうしょう):お金に恵まれる
  • 芸事上達(げいごと じょうたつ):音楽、芸術、芸能などが上達する
  • その他

なお、市寸島姫命は七福神の 弁財天(べんざいてん)と同一視されます。

塩土翁命

塩土翁命(しおつちのおきな の みこと)も藏前神社の主神です。

塩土翁命は、広い見識と知識を持った海の神さまです。神話「山幸彦(やまさちひこ)と海幸彦(うみさちひこ)」において、兄の釣り針を無くして困っている山幸彦を助けたのが塩土翁命です。

塩土翁命の主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。

  • 航海安全(こうかい あんぜん):安全に航海できる
  • 漁業守護(ぎょぎょう しゅご):漁業が発展する
  • 製塩業守護(せいえんぎょう しゅご):製塩業が発展する
  • 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
  • 家内安全(かない あんぜん):家族が健康で安全に過ごせる
  • その他

倉稲魂命

倉稲魂命(うかのみたま の みこと)も藏前神社の主神です。

倉稲魂命は、穀物、農業、そして、芸能の神さまです。また、倉稲魂命は、同じく穀物をつかさどる神さまの 稲荷神(いなりしん)と同一視されます。

倉稲魂命の主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。

  • 五穀豊穣(ごこく ほうじょう):農作物がたくさん穫れる
  • 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
  • 家内安全(かない あんぜん):家族が健康で安全に過ごせる
  • 芸事上達(げいごと じょうたつ):音楽、芸術、芸能などが上達する
  • その他

菅原道真

菅原道真(すがわら の みちざね)も藏前神社の主神です。菅原道真は平安時代の貴族です。また、学者や政治家としてもとても有能な人物でした。

菅原道真は、学問の神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。

  • 学業成就(がくぎょう じょうじゅ):学問に関する願いが叶う
  • 芸能上達(げいのう じょうたつ):芸能や芸術の才能が開花する
  • 除災招福(じょさいしょうふく):あらゆる災いを取り除く
  • その他

見どころ

元犬の像

元犬(もといぬ)とは、江戸時代の落語の演目の 1 つです。この演目の中で藏前神社が登場します。そのため、藏前神社は「古典落語ゆかりの神社」と称しています。

元犬のあらすじは、以下のとおりです。

昔、ある所にシロという白い犬がいました。

シロは、近所の老人に「白い犬は人間に近い。だから、神さまを信仰すれば、来世は人間に生まれ変われる」と聞かされます。

老人の話を信じたシロは、蔵前の八幡さまで百度参り(ひゃくどまいり)をしました。百度参りとは、1 つの神社や寺院を百回お参りすることです。

100 回目のお参りの日、シロは人間に生まれ変わることができました。

その後、シロは人間として生活することになります。しかし、犬だった頃の習性が出てしまい、いろいろな騒動を起こします。

この話に出てくる「蔵前の八幡さま」が藏前神社のことです。

力持の碑

力持(ちからもち)とは、石や米俵などの重いものを持ち上げて力量を示すことです。また、その技を見せるショーや、それを行う人のことも指します。

江戸時代の後期(18 世紀の前半)、素人の力持を称える文化がありました。藏前神社の境内でも力持を奉納する神事が行なわれました。

浮世絵師の 歌川國安(うたがわ くにやす)は、1824 年(文政 7 年)の春に奉納された力持を浮世絵として描いています。それをモチーフにしたものが力持の碑です。

また、江戸時代には、藏前神社の境内で大相撲の興行が行なわれていました。そのため、この神社は「大相撲の聖地」ともいわれています。

河津桜とミモザ

3 月の上旬になると、藏前神社の境内では 河津桜(かわづざくら)と ミモザ の花が参拝客を歓迎してくれます。

河津桜は早咲きの桜で、ソメイヨシノよりも一足早く 3 月の上旬に見どころを迎えます。また、花の色もソメイヨシノよりも濃いピンクであることも特徴です。

藏前神社のミモザはフサアカシアの一種で、河津桜と同時期に黄色い花を咲かせます。

藏前神社の河津桜とミモザは、毎年 3 月に入るとインターネットのニュースなどで取り上げられます。そのため、それほど広いとは言えない境内は参拝客で賑わいます。

河津桜のピンク、ミモザの黄色、本殿の屋根の緑、そして青空。とてもきれいな色の組み合わせは心が和みます。ただ、人が多すぎて自分のペースで写真を撮影できないのが残念です。

藏前神社の河津桜については、次の記事も参照してください。

福猫

藏前神社の境内では、猫がくつろいでいる姿を見かけます。特に何かご利益があるとかではないのですが、心がほっこりします。

この周辺で境内に猫がいる神社は、次のとおりです。

  • 今戸神社(いまど じんじゃ)
  • 小野照崎神社(おのてるさき じんじゃ)
  • 吉原神社(よしわら じんじゃ)

ただし、吉原神社は遭遇する確率がとても低いようです。

各種情報

社務所の受付時間

  • 午前 9 時から午後 4 時まで(ご朱印の記帳は午後 1 時 30 分まで)

電話番号

  • 03-3851-0617

住所

  • 〒111-0051 東京都 台東区 蔵前 3-14-11

地図

アクセス(電車)

  • 大江戸線の 蔵前駅(A6 出口)から徒歩 2 分
  • 浅草線の 蔵前駅(A4 出口)から徒歩 2 分

アクセス(めぐりんバス)

  • 南めぐりんの 大江戸線蔵前駅 停留所(停留所の番号:16 番)から徒歩 2 分
  • ぐるーりめぐりんの 大江戸線蔵前駅 停留所(停留所の番号:21 番)から徒歩 2 分

めぐりんバスは台東区のコミュニティ バスです。台東区を観光する場合、めぐりんバスはとても便利です。めぐりんバスの詳細については、次の記事を参照してください。

アクセス(都営バス)

  • 都営バス(都 02)の 蔵前駅前 停留所 から徒歩 2 分
  • 都営バス(東 42)の 蔵前駅前 停留所 から徒歩 2 分
  • 都営バス(東 42-1)の 蔵前駅前 停留所 から徒歩 4 分
  • 都営バス(東 42-1)の 蔵前駅前 停留所 から徒歩 4 分

公衆トイレの有無

  • 不明(目の前にセブンイレブンがあります)

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