東京下町ガイドの「神社」カテゴリーでは、東京の下町エリアにあるさまざまな神社を紹介しています。それぞれの記事では、東京観光のおすすめのスポットを 1 つ取り上げています。
今回の記事では、台東区の浅草にある 被官稲荷神社(ひかん いなり じんじゃ)を紹介します。
被官稲荷神社は、浅草神社(あさくさ じんじゃ)の境内にある小さな神社です。この神社は浅草神社の本殿の裏に位置しているため、気づかないまま通り過ぎてしまう方もいるかもしれません。
この神社では、願い事をする際に「お姿」と呼ばれる小さな狐の土人形をお供えします。本殿の横には参拝者が奉納した「お姿」がたくさん並んでおり、この神社に対する信仰の厚さが感じられます。
今回の記事では、被官稲荷神社に関する以下のポイントをわかりやすく解説します。
- 歴史
- 祀られている神さま
- 見どころ
- アクセス方法
- その他
この記事を読むことで、被官稲荷神社についてより深く理解することができます。被官稲荷神社を訪れる際は、ぜひこの記事を参考にしてください。
また、浅草神社の詳細については、次の記事を参照してください。
由緒(歴史)
被官稲荷神社を管理する浅草神社によると、被官稲荷神社の始まりは 19 世紀にまでさかのぼります。
当時、浅草の町火消の親分に 新門辰五郎(しんもん たつごろう)という人物がいました。
1854 年(安政元年)、新門辰五郎の妻が病気になりました。新門辰五郎は、京都の 伏見稲荷大社(ふしみ いなり たいしゃ)で彼の妻のために祈りました。伏見稲荷大社は、稲荷神社の総本宮(おおもとの神社)です。
その甲斐あって、新門辰五郎の妻は回復しました。彼は伏見稲荷大社にとても感謝しました。
1855 年(安政 2 年)、新門辰五郎は、伏見稲荷大社の稲荷神を浅草に勧請(かんじょう)しました。勧請とは、神さまや仏さまの分霊(分身)を他の場所で祀ることです。
これが被官稲荷神社の始まりです。
神さまとご神徳(ご利益)
倉稲魂命
被官稲荷神社の主祭神(しゅさいじん)は、倉稲魂命(うか の みたま の みこと)です。主祭神とは、その神社でもっとも中心となる神さまのことです。主祭神は、主神(しゅしん)ともいいます。
倉稲魂命は、穀物、農業、そして、芸能の神さまです。また、倉稲魂命は、同じく穀物をつかさどる神さまの 稲荷神(いなりしん)と同一視されます。
倉稲魂命の主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。
- 五穀豊穣(ごこく ほうじょう):農作物がたくさん穫れる
- 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
- 家内安全(かない あんぜん):家族が健康で安全に過ごせる
- 芸事上達(げいごと じょうたつ):音楽、芸術、芸能などが上達する
- その他
見どころ
社殿
被官稲荷神社の社殿は、一間社流造(いっけんしゃ ながれづくり)と呼ばれる、小さな建物です。正面には 2 本の柱があり、屋根は美しい曲線を描いて手前に伸びています。
この社殿は、1855 年(安政 2 年)に被官稲荷神社が建てられたときのものです。1923 年(大正 12 年)の関東大震災や 1945 年(昭和 20 年)の東京大空襲からも助かった、とても貴重な建物です。
お姿(鉄砲きつね)
鉄砲きつねと は、狐の形をした今戸焼の土人形です。鉄砲きつねは雄と雌とが対になっており、それぞれ表情が異なります。被官稲荷神社では、この鉄砲きつねを お姿 と呼びます。
被官稲荷神社の社殿の左側には、お姿を納めるための祠があります。この神社にお参りをして願い事がかなった人は、ここにお姿を納めます。この祠にあるたくさんのお姿に、あなたもおどろくでしょう。
お姿は、浅草神社の社務所で 1,500 円で買うことができます。お姿を買った後、いちど持ち帰ります。そして、願いがかなったら被官稲荷神社に納めます。もちろん、お姿を持ち帰らずにそのまま納めることもできます。
ところで、今戸人形は浅草の今戸地区で作られていた郷土玩具です。江戸時代、今戸人形は庶民に人気がありました。しかし、二次大戦後、今戸人形はあまり作られなくなりました。
なお、葛飾区の 熊野神社(くまの じんじゃ)や台東区の 口入稲荷神社(くちいれ いなり じんじゃ)でも鉄砲きつねを納める習慣があります。
熊野神社の詳細については、次の記事を参照してください。
口入稲荷神社の詳細については、次の記事を参照してください。
狛狐
被官稲荷神社は、稲荷神(倉稲魂命)を祀っています。また、狐は稲荷神のお使いであるとされています。そのため、この神社には 狛狐(こまぎつね)と呼ばれる狐の像が数多く奉納されています。
被官稲荷神社のある浅草は、昔から歌舞伎や演芸で大いに栄えた地域です。そして、稲荷神のご神徳(ご利益)のひとつは芸事の上達です。
そのため、歌舞伎の俳優や芸人たちは、被官稲荷神社に深い信仰を寄せています。それを物語るのが、歌舞伎の俳優がこの神社に奉納した数々の狛狐です。
もうひとつの注目点は、被官稲荷神社の 3 番目の鳥居に取り付けられた扁額(へんがく)です。この扁額にも狐がデザインされています。この神社を訪れたときは、この扁額も見逃せません。
絵馬
被官稲荷神社の境内には、絵馬がいくつも納められています。この神社の絵馬は、黄色い扇形です。そこに狐の顔が描かれています。ポケモンのモンスターのようにかわいらしい絵馬です。
各種情報
社務所の受付時間
被官稲荷神社の社務所が開いている時間は、次のとおりです。
- 毎月 1 日と 15 日の午前 9 時から午後 3 時 30 分まで
- 毎年 1 月 1日から 1 月 5 日まで
- 初午の日(毎年 2 月の最初の午の日)
- 例大祭の日(毎年 3 月 18 日)
お参りはいつでもできます。また、お守りなどは、浅草神社の社務所でも扱っています。
電話番号
- 03-3844-1575
住所
- 〒111-0032 東京都 台東区 浅草 2-31-16
地図
アクセス(電車)
- 銀座線の 浅草駅(1 番出口)から徒歩 7 分
- 浅草線の 浅草駅(A4 出口)から徒歩 7 分
- 東武伊勢崎線(東武スカイツリー ライン)の 浅草駅(正面改札口)から徒歩 7 分
- つくばエクスプレス線の 浅草駅(A1 出口)から徒歩 10 分
アクセス(めぐりんバス)
- 北めぐりん(浅草まわり)の 浅草寺北 停留所(停留所の番号:22 番)から徒歩 2 分
- 北めぐりん(浅草まわり)の 二天門 停留所(停留所の番号:23 番)から徒歩 2 分
- 東西めぐりん(上野公園まわり)の 雷門通り 停留所(停留所の番号:31 番)から徒歩 7 分
- 東西めぐりん(鶯谷駅まわり)の 雷門通り 停留所(停留所の番号:31 番)から徒歩 7 分
- ぐるーりめぐりんの 浅草雷門 停留所(停留所の番号:17-2 番)から徒歩 7 分
めぐりんバスは台東区のコミュニティ バスです。台東区を観光する場合、めぐりんバスはとても便利です。
めぐりんバスの詳細については、次の記事を参照してください。
アクセス(都営バス)
- 都営バス(上 26)の 浅草二丁目 停留所 から徒歩 2 分
- 都営バス(都 08)の 浅草二丁目 停留所 から徒歩 2 分
- 都営バス(都 08)の 二天門 停留所 から徒歩 2 分
- 都営バス(草 68)の 二天門 停留所 から徒歩 2 分
公衆トイレの有無
- なし(隣接する浅草寺に公衆トイレがあります)