下町の商店街を楽しみながら浅草寺から吉原神社までを散策する

東京下町ガイド の「下町めぐり」カテゴリでは、東京の下町エリアを歩いて楽しむ散策コースを紹介しています。毎回テーマを1 つ選び、ガイドなしでも気軽に楽しめるモデル コースを提案します。

今回のテーマは「浅草寺から吉原神社までを散策する」です。

浅草寺と吉原神社はどちらも台東区にあり、徒歩で約 20 分の距離にあります。途中には奥浅草の商店街があり、食事や買い物を楽しみながら散策を満喫できます。

この記事では、浅草寺から吉原神社までの散策コースを詳しくご紹介します。あなたが東京の下町を訪れる際にぜひ参考にしてください。

ツアーの概要

今回の東京下町めぐりでは、浅草寺から吉原神社まで歩きます。どちらも台東区にある人気のスポットで、徒歩で 20 分ほどの距離にあります。

浅草寺は東京で一番古い寺院であり、観光地浅草の中心として多くの観光客に親しまれています。その広い境内には、歴史を感じさせる本堂や五重塔をはじめ、訪れる人々を魅了する見どころがたくさんあります。

一方、吉原神社は静かで落ち着いた雰囲気が魅力の神社です。吉原は大河ドラマ「べらぼう」の舞台にもなりました。この神社は、かつて吉原で働いていた女性たちの信仰を集めていたことで知られ、現在でも女性の願いを叶える神社として親しまれています。

このツアーでは、にぎやかで活気にあふれる浅草寺と、静謐で趣のある吉原神社の対照的な雰囲気を楽しむことができます。

浅草寺から吉原神社へ向かう際、浅草国際通りを通るルートが一般的ですが、それでは少し物足りないかもしれません。そこで、今回は奥浅草の商店街を通るルートをご紹介します。このルートでは、ガイドブックにあまり載っていない地元ならではの景色や体験を楽しむことができます。

地元の魅力を味わい尽くしたい方に、今回の東京下町めぐりは最適です。

こんな人におすすめ

次のいずれかに当てはまる方には、今回の東京下町めぐりがおすすめです。

  • 浅草エリアでいろいろな場所を訪れたい
  • 浅草名所七福神(あさくさ ななどころ しちふくじん)を徒歩でめぐりたい
  • 東京の下町エリアの商店街を楽しみたい
  • 屋根付きのルートを選びたい

時間の目安

  • 時間の目安:最短で 20 分程度

集合場所と解散場所

  • 集合場所:浅草寺
  • 解散場所:吉原神社

訪問場所の一覧

  1. 浅草寺
  2. 花やしき通り商店街
  3. 浅草ひさご通り商店街
  4. 浅草千束通り商店街
  5. 京町通り
  6. 吉原神社
  7. 台東病院
  8. 吉原弁財天

公衆トイレの場所

  • 浅草寺
  • 京町公園
  • 花園公園
  • その他

浅草寺の周辺のコンビニエンス ストアは、トイレを貸し出していないので注意してください。

ツアーの詳細

基礎知識

浅草寺について

浅草寺は、約 1400 年の歴史を持つ、東京で一番古い寺院です。雷門(かみなりもん)や 宝蔵門(ほうぞうもん)など、浅草寺の広い境内にはさまざまな見どころがあります。

浅草寺の本尊は、聖観世音菩薩(しょう かんぜおん ぼさつ)です。浅草寺はこの仏さまの像を絶対秘仏としており、関係者にも公開していません。

聖観世音菩薩は慈悲の仏さまです。そのご利益は諸願成就です。この仏さまに強く願えばさまざまな願いが叶うといわれています。

浅草寺の本堂に向かって右側には 浅草神社(あさくさ じんじゃ)があります。浅草寺と浅草神社は同じ創建の由来を持ちます。

浅草寺と浅草神社は、どちらも 浅草名所七福神(あさくさ などころ しちふくじん)に数えられています。浅草名所七福神とは、東京都の台東区と荒川区にある 9 つの社寺に祀られている七福神のことです。

浅草寺の詳細については、次の記事を参照してください。

浅草神社の詳細については、次の記事を参照してください。

吉原神社について

吉原神社は、かつて近所に存在した 吉原遊廓(よしわら ゆうかく)と深い繋がりを持つ神社です。吉原遊廓とは、江戸幕府が公認した日本最大の遊郭です。

吉原遊郭敷地の内外には、吉原遊廓を守護する 5 つの稲荷神社がありました。それら 5 つの稲荷神社を 1 か所に合祀(ごうし)したのが吉原神社の始まりです。

その昔、吉原神社は吉原遊廓で働く女性たちの信仰を集めていました。女性の願いを叶えてくれる神社として、現在も吉原神社は女性たちに人気があります。

吉原神社から徒歩 1 分ほどの所に 吉原弁財天(よしわら べんざいてん)があります。こちらも吉原神社が管理する施設です。吉原弁財天は弁財天を祀っており、この弁財天は浅草名所七福神の 1 柱でもあります。

吉原神社の詳細については、次の記事を参照してください。

ルートの解説

浅草寺

今回の集合場所は浅草寺です。浅草寺へ電車で行く場合、銀座線の浅草駅(1 番出口)を利用するのがおすすめです。その理由は以下の通りです。

  1. 改札から地上出口までの導線が非常に良い(浅草線の浅草駅は出口まで長い距離を歩く必要があります)。
  2. 浅草寺に最も近い(つくばエクスプレス線の浅草駅からは約 600 メートル離れています)。
  3. エレーベーターが便利な場所に設置されている。
影向堂

影向堂(ようごうどう)は、浅草寺の本堂を正面に見て左側にある建物です。

影向堂は、聖観世音菩薩と 8 柱の影向衆(ようごうしゅう)の像を祀っています。影向衆とは、聖観世音菩薩を支える仏さまのことです。

また、浅草寺は、ご朱印を影向堂で頒布しています。ご朱印の受け付け時間は、午前 8 時から午後 5 時までです。

淡島堂

淡島堂(あわしまどう)は、女性を守護する神さまの 淡島明神(あわしま みょうじん)を祀るお堂です。そのご利益は幅広く、婦人病の治癒、子授け、安産、縁結びといった女性に関わる願いを叶えるとされています。

また、淡島明神は裁縫の上達を願う人々にも信仰されています。このお堂では、毎年 2 月 8 日に針供養が行われます。使い古した針や折れた針を供養するこの伝統行事は、裁縫の上達を願う方々にとって特別な日です。

女性の幸せや手仕事への思いが込められた淡島堂は、訪れる人々の心を温かく包み込んでくれる場所です。

花やしき通り商店街

花やしき通り商店街 は、遊園地の 浅草花やしき に面した商店街です。この商店街には、若い世代の観光客をターゲットとした飲食店や土産物屋が並んでいます。

浅草花やしき

浅草花やしき は、日本で最初にオープンした遊園地であり、日本で一番小さい遊園地としても知られています。

浅草花やしきの歴史は 1853 年(嘉永 6 年)に始まります。当時は第 12 代将軍 徳川家慶(とくがわ いえよし)が治めていた時代でした。同じ年、アメリカのペリー提督が黒船で来航し、日本に開国を迫った出来事が起きています。

こうした歴史的背景の中で花やしきが誕生したことを思うと、その存在が一層特別に感じられますね。

花やしきの名物といえば、日本で現存する最古のローラーコースターです。私も実際に乗ったことがありますが、最新のものと比べるとスリルは控えめです。しかし、そのレトロな雰囲気には独特の魅力があります。

浅草ひさご通り商店街

浅草ひさご通り商店街 は、全長約 180 メートルのアーケード商店街です。屋根があるため、日差しが強い日や雨の日でも快適に散策できるのが魅力です。

「ひさご」とは「瓢箪(ひょうたん)」のこと。この商店街の近くには、かつて「瓢箪池(ひょうたんいけ)」と呼ばれる池があり、その名前が由来となっています。

近隣の花やしき通り商店街が観光客向けの賑やかな店舗で賑わうのに対し、浅草ひさご通り商店街は地元住民向けの店舗が多く並んでいます。そのため、どこか落ち着いた雰囲気が漂っており、地元の生活を感じながらゆっくりと歩くことができます。

浅草千束通り商店街

浅草ひさご通り商店街を過ぎると、目の前に突き当たるのが 言問通り(こととい どおり) です。この通りを渡ると、次に見えてくるのが 浅草千束通り商店街 です。

千束通り商店街は、千束通りに沿って約 1200 メートル続く長い商店街です。浅草ひさご通り商店街と同様、歩道には屋根がついています。これにより、日差しの強い日や雨の日でも快適に歩くことができます。

この商店街には地元の住民向けのお店が多く並んでおり、観光客の姿もほとんど見かけません。そのため、全体的に落ち着いた雰囲気が漂っています。この商店街を歩くと、東京の下町で暮らす人々の日常が垣間見え、観光地とはまた違った魅力を味わうことができます。

また、千束通り商店街を含む、浅草寺から見て言問通りの北側の地域は 奥浅草(おくあさくさ) と呼ばれています。このエリアには、細い路地の中におしゃれなカフェやレストランが点在しており、散策する楽しさも広がります。

甘味処 山口家本店

山口家本店 は、千束通りにある食堂を兼ねた甘味処です。私のお気に入りの店のひとつです。

山口家本店の店内に足を踏み入れると、昭和の時代にタイムスリップしたような懐かしい雰囲気に包まれます。そのレトロな佇まいが、訪れる人々の心を和ませてくれるのも魅力のひとつです。

ここで特におすすめしたいのが、 みたらし団子 です。驚くほど柔らかいお団子に、ほどよい甘じょっぱいタレが絶妙に絡み合っています。価格も 1 本 100 円ほどとお手頃で、週末にはさらに割引されることもあります。

ココカラファイン 浅草五丁目店

山口家本店を過ぎて最初の交差点を左に曲がります。この交差点の目印はドラッグ ストアのココカラファインです。

京町通り

千束通りから 1 分ほど歩くと、花園通り(はなぞのどおり)に着きます。目印はファミリーマート台東千束店です。この花園通りの向こう側が、かつて吉原遊廓だった地域にあたります。

ファミリーマート台東千束店の横の道が 京町通り(きょうまち どおり)です。江戸時代の地図の 江戸切絵図(えど きりえず)では、京町二丁目と書かれている部分です。

引用元:国立国会図書館の「江戸切絵図(今戸箕輪浅草絵図)」

ファミリーマート台東千束店の裏に細い路地があります。吉原遊廓があった時代、このあたりは 羅生門河岸(らしょうもん がし)と呼ばれていました。

羅生門河岸は、吉原遊廓の中でも最下層の地域でした。漫画・アニメ「鬼滅の刃」に登場する妓夫太郎や堕姫が生まれ育った場所としても知られています。

そのまま京町通りを進むと、住宅街が続いています。そのため、かつての吉原遊廓の名残を感じるには物足りないかもしれません。

途中で 京町公園 が見えてきます。この公園には公衆トイレが設置されており、散策途中の休憩に便利です。さらに、京町公園の裏手には細い路地が続いており、これは吉原神社を囲んでいた お歯黒どぶ の跡地です。

千束保健センター交差点

京町通りを進むと、千束保健センター交差点にたどり着きます。この交差点で京町通りは 仲之町通り(なかのちょうどおり)と交わります。仲之町通りは、吉原遊廓のメイン ストリートとしてにぎわっていました。

千束保健センター交差点を左に曲がると 吉原神社 があります。右に曲がると 吉原大門跡地見返り柳 に向かいます。いずれも吉原遊廓の象徴的なスポットです。

千束保健センター交差点から吉原神社の手前あたりにかけては、かつて 水道尻(すいどじり)と呼ばれていました。この名前は、交差点付近に井戸があったこと、そして吉原遊廓の最奥部であったことに由来します。

吉原神社

千束保健センター交差点を左に曲がり、仲之町通りを 1 分ほど歩くと、吉原神社 に到着します。

吉原神社の鳥居の左側には、この神社の神木である 逢初桜(あいぞめ ざくら)が出迎えてくれます。「逢初」とは、恋い焦がれる人との出会いを意味します。

逢初桜はもともと吉原大門の近くに植えられていました。江戸時代には、男性客がこの桜に素敵な出会いを祈願してから吉原遊郭に入っていたと伝えられています。

台東病院

吉原神社から仲之町通りをさらに 1 分ほど歩くと、台東区立 台東病院 に到着します。この病院の前身は 吉原病院 と呼ばれ、吉原遊廓で働く女性たちのために設立された施設でした。

吉原弁財天

台東病院から仲之町通りをさらに 1 分ほど歩くと、吉原弁財天(よしわら べんざいてん)に到着します。この神社は、吉原神社が管理しており、浅草名所七福神の一つである弁財天を祀っています。

境内には 吉原観音像(よしわら かんのん ぞう)があります。この観音像は、1923 年(大正 12 年)の関東大震災で亡くなった吉原関係者や近隣住民を供養するために建立されました。

桜の季節には、桜の花を背景にした吉原観音像の美しい景色が楽しめます。季節限定の光景ですが、一見の価値があります。

備考

台東病院の敷地には、めぐりんバス の停留所があります。帰りの交通手段として、めぐりんバスの利用をおすすめします。

めぐりんバスとは?

めぐりんバスは、台東区が運営するコミュニティ バスです。当サイトでは特におすすめの交通手段です。その理由は、100 円という格安な乗車料金で、台東区内のさまざまな場所にアクセスできる点にあります。

台東病院から利用できるルート

台東病院の停留所からは、以下の 3 つのルートが発着しています。

  • 北めぐりん(浅草まわり):浅草駅や三ノ輪駅を経由するルートです。
  • 北めぐりん(根岸まわり):三ノ輪駅や鶯谷駅を経由するルートです。
  • 南めぐりん:上野駅、新御徒町駅、浅草橋駅を経由するルートです。
タイトルとURLをコピーしました