東京下町ガイド の「神社」カテゴリーでは、東京の下町エリアにあるいろいろな神社をわかりやすく紹介しています。あなたの東京観光におすすめのスポットを毎回 1 つ取り上げます。
今回の記事では、荒川区の南千住(みなみ せんじゅ)にある 石浜神社(いしはま じんじゃ)を紹介します。
石浜神社は、約 1,300 年の歴史を誇る、荒川区で最も古い神社です。そのため、境内には歴史的に貴重な遺産が数多く残されています。
この神社は、天照大御神(あまてらす おおみかみ)を祀っています。それに加えて、この神さまに関連する神さまたちも祀られています。
今回の記事では、吉原神社に関する以下の内容をやさしく解説します。
- 歴史
- 祀られている神さま
- 見どころ
- アクセス方法
- その他
この記事を読むことで、石浜神社についてより深く理解できます。石浜神社を訪れる際は、ぜひこの記事を参考にしてください。
由緒(歴史)
石浜神社によると、この神社の始まりは 8 世紀にまでさかのぼります。
724 年(神亀元年)、聖武天皇(しょうむ てんのう)の命を受け、 石浜神社が建てられました。
1189 年(文治 5 年)、東北地方で 奥州合戦(おうしゅう がっせん)が起こりました。鎌倉幕府は、奥州(おうしゅう)を支配していた藤原氏と戦いました。奥州は現在の現在の東北地方に相当します。
当時、藤原氏は強大な勢力を築いており、鎌倉幕府にとって脅威でした、鎌倉幕府の創設者である 源 頼朝(みなもと の よりとも)は、鎌倉幕府の安定のためには藤原氏を打倒する必要があると考えました。
藤原氏を打倒するための戦いに向かう途中、源頼朝は石浜神社で勝利を祈りました。戦いに勝った源 頼朝は、その功績を認められて鎌倉幕府の初代征夷大将軍になりました。
1281 年(弘安 4 年)、蒙古襲来(もうこ しゅうらい)がありました。モンゴル帝国が日本を攻めてきたのです。モンゴル帝国は、当時のアジアにあった世界最大の国です。
鎌倉幕府の第 7 代征夷大将軍である、惟康親王(これやす しんのう)は、石浜神社で勝利を祈りました。惟康親王もこの戦いに勝つことができました。
いずれの戦いも鎌倉幕府が勝利したことから、関東の戦国大名である千葉氏や宇都宮氏は、石浜神社を大切にしました。有力者だけでなく、一般庶民にも石浜神社は人気がありました。
12 世紀の終わりから 13 世紀の初めにかけて、石浜神社はとても人気がありました。当時、伊勢参宮に行くことが困難であった関八州(江戸時代の関東地方にあった 8 つの国)の庶民は伊勢参宮の代わりに石浜神社にお参りしました。
1934 年(昭和 9 年)、石浜神社の社殿は放火が原因で焼失しました。1937 年(昭和 12 年)、この社殿は再建されましたが、第二次世界大戦で本殿以外の多くの施設を焼失しています。
石浜神社は戦後に復興したものの、1988 年(昭和 63 年)、荒川区の白鬚西地区再開発事業により現在地に移転しています。
神さまとご神徳(ご利益)
天照大御神
石浜神社の主神(しゅしん)は、天照大御神(あまてらす おおみかみ)です。主神とは、その神社で中心となる神さまのことです。
天照大御神は、高天原(たかまがはら)を統べる、日本で最も尊い神さまです。高天原とは、神々が住む天上界のことを指します。
天照大御神は、太陽の神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。
- 国土安泰(こっか あんたい):国家の平和と国民の安全を維持する
- 子孫繁栄(しそん はんえい):自分の子どもや孫たちが幸せに暮らせる
- 五穀豊穣(ごこく ほうじょう):農作物がたくさん穫れる
- その他
なお、天照大御神は最高神であるため、あらゆる福をもたらすとされています。
豊受大御神
豊受大御神(とようけ の おおみかみ)も石浜神社の主神です。豊受大御神は、天照大御神の食事を調達する役割を持つ神さまです。
豊受大御神は、衣食住と産業の神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。
- 五穀豊穣(ごこく ほうじょう):農作物がたくさん穫れる
- 産業振興(さんぎょう しんこう):各種産業が発展する
- 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
- その他
寿老神
本殿横の境内社は、七福神の 寿老人(じゅろうじん)を祀っています。この神さまは、りゅうこつ座で一番明るい星であるカノープスを神格化したものです。
寿老人は長寿の神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。
- 健康長寿(けんこう ちょうじゅ):健康で長生きできる
- その他
素戔雄尊
本殿横の境内社の 江戸神社(えど じんじゃ)は、素戔雄尊(すさのお の みこと)を祀っています。この神さまは、天照大御神の弟です。
素戔雄尊は、海、嵐、農業の神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。
- 除災招福(じょさいしょうふく):あらゆる災いを取り除く
- 家内安全(かない あんぜん):家族が健康で安全に過ごせる
- 五穀豊穣(ごこく ほうじょう):農作物がたくさん穫れる
- その他
菅原道真
本殿横の境内社の 北野神社(きたの じんじゃ)は、菅原 道真(すがわら の みちざね)を祀っています。菅原 道真は平安時代の貴族です。また、学者や政治家としてもとても有能でした。
菅原道真は、学問の神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。
- 学業成就(がくぎょう じょうじゅ):学問に関する願いが叶う
- 芸能上達(げいのう じょうたつ):芸能や芸術の才能が開花する
- 除災招福(じょさいしょうふく):あらゆる災いを取り除く
- その他
日本武尊
本殿横の境内社の 妙義八幡神社(みょうぎ はちまん じんじゃ)は、日本武尊(やまとたける の みこと)を祀っています。この神さま、日本の第 12 代天皇である景行天皇の皇子を神格化したものです。
日本武尊は、戦いと農業の神です。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。
- 除災招福(じょさいしょうふく):あらゆる災いを取り除く
- 国土安穏(こくど あんのん):国家の平和と国民の安全を維持する
- 五穀豊穣(ごこく ほうじょう):農作物がたくさん穫れる
- 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
- その他
誉田別命
本殿横の境内社の 妙義八幡神社(みょうぎ はちまん じんじゃ)は、誉田別命(ほんたわけ の みこと)を祀っています。この神さまは、第 15 代天皇である 応神天皇(おうじん てんのう)を神格化したものです。
誉田別命は、戦いの神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。
- 武運長久(ぶうん ちょうきゅう):戦いでの幸運が長く続く
- 勝負運向上(しょうぶうん こうじょう):勝負に勝てる
- 除災招福(じょさいしょうふく):あらゆる災いを取り除く
- その他
手置帆負命
境内社の 麄香神社(あらか じんじゃ)は、手置帆負命(たおきほおい の みこと)を祀っています。
天岩戸の神話において、手置帆負命は、彦狭知命(ひこさしり の みこと)とともに天岩戸の近くに瑞殿(ずいでん)を建てた神さまです。
手置帆負命は、工匠(工作や細工のこと)と建築の神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。
- 建築業守護(けんちくぎょう しゅご):建築業が発展する
- その他
彦狭知命
境内社の 麄香神社(あらか じんじゃ)は、彦狭知命(ひこさしり の みこと)を祀っています。
天岩戸の神話において、彦狭知命は、手置帆負命(たおきほおい の みこと)とともに天岩戸の近くに瑞殿(ずいでん)を建てた神さまです。
彦狭知命は、工匠(工作や細工のこと)と建築の神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。
- 建築業守護(けんちくぎょう しゅご):建築業が発展する
- その他
見どころ
大鳥居
石浜神社の参道には、江戸時代に建てられた 2 つの鳥居があります。天照大御神を祀っている神社らしく、直線的でシンプルなデザインの 神明鳥居しんめいとりい が採用されています。
第一鳥居(参道の入り口から見て手前側)は、江戸時代の 1779 年(安永 8 年)に建てられました。通常、神明鳥居の笠木(鳥居の最上部の横柱)は円柱形ですが、この鳥居の笠木の断面図はカマボコ型になっています。
第二鳥居(参道の入り口から見て奥にある鳥居)は、江戸時代の 1749 年(寛延 2 年)に建てられました。笠木の断面図がカマボコ型であることに加え、明神鳥居では珍しく鳥居の中央上部に額束が取り付けられています。
2019 年(令和元年)、第一鳥居と第二鳥居のいずれも荒川区の有形文化財に指定されました。また、他の神社では見られない特徴的な形状であることから、これらの鳥居を石浜鳥居と呼ぶ場合もあります。
境内社
石浜神社には数多くの境内社があります。これらは、近隣にあった神社を石浜神社に移転して境内社として祀ったためです。そのため、同じ神さまが複数の境内社で祀られています。
これらを一つひとつ拝見してまわるだけでも、この神社の長い歴史を垣間見ることができます。また、これだけたくさんの神さまが祀られているということは、さまざまなご利益を期待できます。
本殿の右隣には、つぎの境内社があります。
- 江戸神社(えど じんじゃ)
- 北野神社(きたの じんじゃ)
- 妙義八幡神社(みょうぎ はちまん じんじゃ)
- 真崎稲荷神社(まさき いなり じんじゃ)
- 寿老神(じゅろうじん)
- 宝得大黒天(ほうとく だいこくてん)
また、本殿の手前の右手には、つぎの境内社があります。
- 招来稲荷神社(おいで いなり じんじゃ)
- 白狐祠(びゃっこし)
- 富士塚(ふじづか)
それ以外にも本殿脇の御垣内には 麄香神社(あらか じんじゃ)があります。こちらを拝観するには事前予約が必要とのことです。
荒川区の指定文化財
鳥居以外にも、石浜神社のあちらこちらに荒川区の有形文化財が数多くあります。境内社に加え、これらを見て回るのも楽しみの 1 つです。
石浜神社にある、荒川区の指定文化財とその奉納年は、つぎのとおりです。
- 第一鳥居:1779 年(安永 8 年)
- 第二鳥居:1749 年(寛延 2 年)
- 伊勢物語の歌碑:1805 年(文化 2 年)
- 亀田鵬斎の詩碑:1824 年(文政 7 年)
- 麁香神社関係資料:1779 年(安永 8 年)
- 手水鉢:1688 年(元禄元年)
- 庚申塔 3 基:1686 年(貞享 3 年)
- 富士塚:1758 年(宝暦 8 年)
石濱茶寮「楽」
石濱茶寮「楽」は、石浜神社の敷地内にある神社カフェです。石浜神社は、2024 年(令和 6 年)に石浜神社が鎮座 1,300 周年を迎えます。この神社カフェは、その記念事業の一環として 2020 年(令和 2 年)12 月に開店しました。
石濱茶寮で楽しみたいのがコーヒーです。ここのコーヒーは、東京珈琲四天王の 1 つであるカフェ バッハのコーヒー豆と神社の境内の井戸から汲みあげたご神水を使用しています。
この記事を執筆している時点(2021 年 7 月)では、新型コロナ ウィルス感染症対策のため営業時間が変更となっています。訪問前に石浜神社の公式サイトをご確認ください。
江戸二十五天神(第十八番)
石浜神社の境内社(境内にある小さな神社)である北野神社は、江戸二十五天神の 1 つに数えられています。江戸二十五天神とは、菅原道真を祀っている、都内の代表的な 25 の神社(天神や天満宮)のことです。
江戸二十五天神は、江戸時代後期から明治時代にかけて成立したと言われています。同様のものに東京天満宮二十五社があります。
江戸二十五天神では、それぞれの神社には番号が付けられており、これが巡拝の順番になっています。ちなみに北野神社の番号は 18 番です。
浅草名所七福神(寿老神)
石浜神社の寿老人は、浅草名所七福神(あさくさ などころ しちふくじん)の 1 柱(はしら)に数えられています。浅草名所七福神とは、東京都の台東区と荒川区にある 9 つの社寺に祀られている七福神のことです。
浅草名所七福神めぐりは、おすすめの浅草観光の 1 つです。通常、七福神めぐりは正月に行いますが、浅草名所七福神めぐりはいつでも楽しむことができます。
浅草名所七福神の詳細については、つぎの記事を参照してください。
各種情報
社務所の受付時間
- 午前 9 時から午後 4 時 30 分まで
電話番号
- 03-3801-6425
住所
- 〒116-0003 東京都 荒川区 南千住 3-28-58
地図
アクセス(電車)
- 日比谷線の 南千住駅 (南出口)から徒歩 15 分
- JR 線 南千住駅(西出口)から徒歩 15 分
- 常磐線 南千住駅(西出口)から徒歩 15 分
- つくばエクスプレス線の 南千住駅 (西出口)から徒歩 15 分
アクセス(めぐりんバス)
- 北めぐりん(浅草まわり)の 橋場一丁目 停留所(停留所の番号:8 番)から徒歩 10 分
- ぐるーりめぐりんの 橋場二丁目 停留所(停留所の番号:11 番)から徒歩 1 分
- ぐるーりめぐりんの 橋場二丁目アパート前 停留所(停留所の番号:12 番)から徒歩 1 分
三ノ輪駅から石浜神社へ行く場合、ぐるーりめぐりんが便利です。石浜神社から三ノ輪駅へ行く場合、北めぐりん(浅草まわり)が便利です。
浅草駅や今戸神社から石浜神社へ行く場合、北めぐりん(浅草まわり)が便利です。石浜神社から浅草駅や今戸神社へ行く場合、ぐるーりめぐりんが便利です。
めぐりんバスは台東区のコミュニティ バスです。台東区を観光する場合、めぐりんバスはとても便利です。めぐりんバスの詳細については、つぎの記事を参照してください。
アクセス(都営バス)
- 都営バス(里 22)の 橋場二丁目 停留所 から徒歩 1 分
- 都営バス(草 42-3)の 橋場二丁目 停留所 から徒歩 1 分
- 都営バス(草 42-3)の 橋場二丁目アパート前 停留所 から徒歩 1 分
南千住駅から石浜神社へ行く場合、都営バス(東 42-3)が便利です。また、石浜神社から浅草駅や今戸神社へ行く場合もこのバスを使うことができます。しかし、ぐるーりめぐりんの方が運賃が安いです(100 円)。
公衆トイレの有無
- 神社の手前の石浜城址公園 (南千住三丁目公園) に公衆トイレがあります
- 併設の石濱茶寮「楽」にもトイレがあります