東京下町ガイド の「寺院」カテゴリーでは、東京の下町エリアにあるいろいろな寺院をわかりやすく紹介しています。あなたの東京観光におすすめのスポットを毎回 1 つ取り上げます。
今回の記事では、橋場不動尊(はしば ふどうそん)を紹介します。長國寺は、台東区にある 天台宗(てんだいしゅう)の寺院です。
橋場不動尊の正式名称は 砂尾山 橋場寺 不動院(すなおさん はしばじ ふどういん)ですが、橋場不動尊の名前で親しまれています。
地元の人たちは、この寺院を「火伏せの橋場不動尊」と呼んでいます。その理由は、過去に東京で何度も大きな火災が発生したにも関わらず、この寺院がある地域は被害を免れたからです。
今回の記事では、橋場不動尊に関する以下の内容をやさしく解説します。
- 歴史
- 祀られている神さま
- 見どころ
- アクセス方法
- その他
この記事を読むことで、橋場不動尊についてより深く理解できます。橋場不動尊を訪れる際は、ぜひこの記事を参考にしてください。
由緒
橋場不動尊によると、この寺院の始まりは 8 世紀にまでさかのぼります。また、その歴史には、東大寺(とうだいじ)の創始者である 良弁(ろうべん)とその弟子である 寂昇(じゃくしょう)が深く関わっています。
8 世紀、奈良の東大寺に良弁という僧侶がいました。彼はこの寺院の初代別当でした。別当(べっとう)とは、その寺院で一番位の高い僧侶のことです。
良弁が建てた寺院の 1 つに相模国(さがみのくに)の 大山寺(おおやまでら)があります。相模国は、現在の神奈川県です。
大山寺には、大山寺縁起(おおやまでらえんぎ)という資料があります。この資料は、大山寺の成り立ちを記録したものです。
大山寺縁起によると、良弁は相模国の大山という山で不動明王(ふどう みょうおう)のお告げを受けました。不動明王のお告げに従い、彼は 1 本の霊木からを 3 体の不動明王の像を作りました。
良弁はそのうちの 1 体を本尊とする大山寺を建てました。次の 1 体は、良弁が自分で保管しました。そして残りの 1 体は、良弁の弟子である寂昇が受け取りました。
その後、寂昇は不動明王像を持って上総国(今の千葉県)へ旅に出ました。その途中でこの地に立ち寄ったとき、寂昇は不動明王のお告げを受けました。そこで寂昇はこの地に不動明王の像を安置することにしました。
760 年(天平宝字 4 年)、村人の協力のもと、彼は寺院を建てました。これが橋場不動尊の始まりです。
1163 年(長寛元年)、橋場不動尊は、教円(きょうえん)を迎えました。その際、橋場不動尊は、法相宗から天台宗に改宗しました。
橋場不動尊が天台宗に改宗した際、同じ天台宗の 浅草寺(せんそうじ)の末寺(まつじ)になりました。末寺とは、他の寺院の管理下にあることを意味します。
1950 年(昭和 25 年)、浅草寺は天台宗から聖観音宗に改宗しました、そのため、橋場不動尊は、滋賀県にある 比叡山 延暦寺(ひえいざん えんりゃくじ)の末寺になりました。延暦寺は天台宗の総本山です。
仏さまとご利益
不動明王
橋場不動尊の本尊は 不動明王(ふどう みょうおう)です。この仏さまは「お不動さん」という名前で親しまれています。
不動明王の特徴は、怒った顔をしていることです。その理由は、恐ろしい表情で魔を退治し、人びとを災いから守るためです。
不動明王は救済の仏さまです。この仏さまの主なご利益は、次のとおりです。
- 煩悩退散(ぼんのう たいさん):迷いや苦しみの原因から開放される
- 除災招福(じょさいしょうふく):あらゆる災いを取り除く
- 病気平癒(びょうき へいゆ):病気が治る
- 家内安全(かない あんぜん):家族が健康で安全に過ごせる
- その他
薬師如来
橋場不動尊は、薬師如来(やくし にょらい)も祀っています。橋場不動尊の薬師如来は、地元の人びとに「橋場薬師(はしば やくし)」とも呼ばれます。
薬師如来は医薬の仏さまです。この仏さまの主なご利益は、次のとおりです。
- 病気治癒(びょうき へいゆ):病気が治る(特に眼病)
- 健康長寿(けんこう ちょうじゅ):健康で長生きできる
- 安産(あんざん):母子ともに健康に出産できる
- その他
布袋尊
橋場不動尊は、七福神の 布袋尊(ほていそん)を祀っています。この神さまは、弥勒菩薩(みろく ぼさつ)の化身と言われています。
布袋尊は夫婦円満と財運の神さまです。この神さまの主なご利益は、次のとおりです。
- 夫婦円満(ふうふ えんまん):夫婦が仲良く暮らせる
- 子授け(こさずけ):子どもを授かることができる
- 縁結び(えんむすび):良い相手と出会える
- 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
- その他
富貴弁財天
橋場不動尊は、七福神の 弁財天(べんざいてん)を祀っています。橋場不動尊の弁財天は、「富貴弁財天(ふうき べんざいてん)」と呼ばれています。
その理由は、この弁財天を橋場不動尊に奉納した人が、奉納の際に「富貴な人になりたい」と願ったためです。富貴とは、財産と地位がある人のことを指します。
弁財天は芸事や金運の神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。
- 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
- 金運上昇(きんうん じょうしょう):お金に関する運勢が良くなる
- 芸事上達(げいごと じょうたつ):音楽、芸術、芸能などが上達する
- その他
見どころ
本堂
橋場不動尊の本堂は、1845 年(弘化 2 年)に建てられたものです。この建物は建立当時のものがそのまま残っています。
東京は過去に何度も大規模な火災にみまわれています。例えば、1911 年(明治 44 年)の吉原大火、1923 年(大正 12 年)の関東大震災、そして、1945 年(昭和 20 年)の東京大空襲などです。
橋場不動尊のある地域はこれらすべての火難を逃れました。そのため、この寺院は「火伏せの橋場不動尊(ひぶせ の はしば ふどうそん)」とも呼ばれています。火伏せとは、火難を防ぐという意味です。
大銀杏
橋場不動尊を訪れると、本堂の手前の銀杏の大木が出迎えてくれます。橋場不動尊の公式 Web サイトによると、この銀杏の大木は樹齢 700 年とのこと。
江戸時代、この木はすぐ近くを流れる隅田川を往来する人びとの目印にもなりました。現代では、この銀杏の大木をパワー スポットと考え、この木に抱きついてエネルギーをもらおうとする参拝者もいます。
浅草名所七福神(布袋尊)
橋場不動尊の布袋尊は、浅草名所七福神(あさくさ などころ しちふくじん)の 1 柱(はしら)に数えられています。浅草名所七福神とは、東京都の台東区と荒川区にある 9 つの社寺に祀られている七福神のことです。
浅草名所七福神めぐりは、おすすめの浅草観光の 1 つです。通常、七福神めぐりは正月に行いますが、浅草名所七福神めぐりはいつでも楽しむことができます。
浅草名所七福神の詳細については、次の記事を参照してください。
各種情報
寺務所の受付時間
- 午前 9 時から 午後 4 時 30 分まで
電話番号
- 03-3872-5532
住所
- 〒111-0023 東京都 台東区 橋場 2-14-19
地図
アクセス(電車)
- 日比谷線の 南千住駅 (南出口)から徒歩 20 分
- JR 線 南千住駅(西出口)から徒歩 20 分
- 常磐線 南千住駅(西出口)から徒歩 20 分
- つくばエクスプレス線の 南千住駅 (西出口)から徒歩 20 分
- 東武伊勢崎線の 浅草駅(北改札口)から徒歩 20 分
アクセス(めぐりんバス)
- 北めぐりん(浅草まわり)の 橋場一丁目 停留所(停留所の番号:8 番)から徒歩 7 分
- ぐるーりめぐりんの 橋場二丁目アパート前 停留所(停留所の番号:12 番)から徒歩 1 分
三ノ輪駅から橋場不動尊へ行く場合、ぐるーりめぐりんが便利です。橋場不動尊から三ノ輪駅へ行く場合、北めぐりん(浅草まわり)が便利です。
浅草駅や今戸神社から橋場不動尊へ行く場合、北めぐりん(浅草まわり)が便利です。橋場不動尊から浅草駅や今戸神社へ行く場合、ぐるーりめぐりんが便利です。
めぐりんバスは台東区のコミュニティ バスです。台東区を観光する場合、めぐりんバスはとても便利です。
めぐりんバスの詳細については、次の記事を参照してください。
アクセス(都営バス)
- 都営バス(東 42-3)の 橋場二丁目アパート前 停留所から徒歩 1 分
南千住駅から橋場不動尊へ行く場合、都営バス(東 42-3)が便利です。また、橋場不動尊から浅草駅や今戸神社へ行く場合もこのバスを使うことができます。しかし、ぐるーりめぐりんの方が運賃が安いです(100 円)。
公衆トイレの有無
- なし
橋場不動尊のすぐ近所にコンビニエンス ストア(ローソン)があります。ここはトイレの貸出をしています。また、徒歩数分のところにある石浜城址公園(南千住三丁目公園)には、公衆トイレがあります。