東京下町ガイド の「神社」カテゴリーでは、東京の下町エリアにあるいろいろな神社をわかりやすく紹介しています。あなたの東京観光におすすめのスポットを毎回 1 つ取り上げます。
今回の記事では、台東区の根岸(ねぎし)にある 元三島神社(もとみしま じんじゃ)を紹介します。
元三島神社は、JR 山手線と京浜東北線の 鶯谷駅(北口)から徒歩 1 分くらいの場所にあります。場所柄、周囲はラブホテルだらけだったりします。
また、この神社では、花手水(はなちょうず)が参拝者を出迎えてくれます。花手水とは、手水舎(ちょうずや)の水に色鮮やかな花を浮かべたものを指します。
今回の記事では、元三島神社に関する以下の内容をやさしく解説します。
- 歴史
- 祀られている神さま
- 見どころ
- アクセス方法
- その他
この記事を読むことで、元三島神社についてより深く理解できます。元三島神社を訪れる際は、ぜひこの記事を参考にしてください。
由緒(歴史)
前提となる知識として、台東区には次の 3 つの三島神社があります。
- 台東区 千束(せんぞく)の三島神社(みしま じんじゃ)
- 台東区 寿(ことぶき)の本社三島神社(ほんしゃ みしま じんじゃ)
- 台東区 根岸(ねぎし)の元三島神社(もと みしま じんじゃ)
これら 3 つの神社は、もともとは同じ神社です。したがって、三島神社の歴史は、元三島神社と本社三島神社の歴史でもあります。
三島神社によると、この神社の始まりは 13 世紀にまでさかのぼります。
13 世紀の後期、元寇(げんこう)がありました。モンゴル帝国が 2 度にわたり日本を攻めてきたのです。モンゴル帝国は、当時のアジアにあった世界最大の国です。元寇は 蒙古襲来(もうこ しゅうらい)ともいいます。
1 度目の襲来は、1274 年(文永 11 年)の 文永の役(ぶんえいのえき)です。また、2 回目の襲来は、1281 年(弘安 4 年)の 弘安の役(こうあんのえき)です。
その頃、伊予国(いよのくに)の武将に 河野通有(かわの みちあり)という人物がいました。伊予国は現在の愛媛県 松山市です。また、武将とは、軍を統率する将軍のことです。
1281 年(弘安 4 年)、河野通有は、2 回目の元寇である弘安の役に参加しました。弘安の役に向かう途中、河野通有は地元の 大山祇神社(おおやまづみ じんじゃ)で勝利を祈りました。
大山祇神社は、瀬戸内海の 大三島(おおみしま)ある神社です。また、この神社では、山の神さまである 大山祇神(おおやまつみ の かみ)を祀っています。
戦いに勝つことができたため、河野通有は大山祇神にとても感謝しました。
ある夜、河野通有は大山祇神のお告げを授かりました。お告げの中で大山祇神は「私を 武蔵国 豊島郡(むさしのくに としまぐん)に祀りなさい」と言いました。
武蔵国 豊島郡は、現在の千代田区、中央区、港区、台東区、文京区、新宿区、渋谷区、豊島区、荒川区、北区、板橋区の一部を含む広大な地域です。
当時、河野通有は武蔵国 豊島郡の 上野山(うえのやま)に自分の屋敷を持っていました。彼は、そこに大山祇命を祀る神社を建てました。上野山は現在の上野公園に相当する地域です。
1625 年(寛永 2 年)、江戸幕府は上野山に 寛永寺(かんえいじ)を建てました。
1650 年(慶安 3 年)、河野通有の神社は上野山から 金杉村(かなすぎむら)に移転しました。金杉村は、現在の台東区 根岸(ねぎし)に相当する地域です。
その後、江戸幕府は河野通有の神社がある土地を幕府用地としました。
そのため、1709 年(宝永 6 年)、河野通有の神社は金杉村から 浅草小揚町(あさくさ こあげちょう)に移転しました。浅草小揚町は、現在の台東区 寿(ことぶき)に相当する地域です。
これが現在の 本社三島神社 です。
金杉村の人たちにとって、本社三島神社は遠くにあるため不便です。そのため、金杉村の人たちは本社三島神社の大山祇神を分霊し、それを 2 か所で祀りました。
元三島神社 は、大山祇神の分霊を金杉村にあった 熊野神社(くまの じんじゃ)で祀ったものです。三島神社 は、大山祇神の分霊を下谷で祀ったものです。
本社三島神社と三島神社の詳細については、以下の記事を参照してください。
神さまとご神徳(ご利益)
大山祇神
三島神社の主神(しゅしん)は、大山祇命(おおやま つみ の みこと)です。主神とは、その神社でもっとも中心となる神さまのことです。
大山祇神は山の神さまの総元締(そうもとじめ)です。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。
- 諸業繁栄(しょぎょう はんえい):各種産業が発展する
- 商売繁盛(しょうばい はんじょう):商いがうまくいく
- 病気平癒(びょうき へいゆ):病気が治る
- その他
伊佐那岐命
伊佐那岐命(いざなぎ の みこと)も元三島神社の主神です。伊佐那岐命は、妻の イザナミ と共に日本列島を構成する島々や多くの神さまを生みました。
伊佐那岐命は、国産みと神産みの神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。
- 夫婦円満(ふうふ えんまん):夫婦が仲良く暮らせる
- 子孫繁栄(しそん はんえい):自分の子どもや孫たちが幸せに暮らせる
- 長寿繁栄(ちょうじゅ はんえい):健康で長生きできる
- 縁結び(えんむすび):良い相手と出会える
- その他
寿老人
鷲神社は、七福神の 寿老人(じゅろうじん)を祀っています。この神さまは、りゅうこつ座で一番明るい星であるカノープスを神格化したものです。
寿老人は長寿の神さまです。この神さまの主なご神徳(ご利益)は、次のとおりです。
- 健康長寿(けんこう ちょうじゅ):健康で長生きできる
- その他
見どころ
花手水
元三島神社の 手水舎(ちょうずや)は、季節の花が参拝する人を歓迎しています。手水舎とは、参拝する前に手や口を清める施設のことです。手水舎は「てみずや」と読む場合もあります。
花手水(はな ちょうず)の本来の意味は、屋外での神事の際に花や草についた露(つゆ)で手や口を清めることです。しかし、最近は手水舎の水に色鮮やかな花を浮かべたものを花手水と呼ぶようになっています。
茅の輪くぐり
元三島神社では、夏越の祓(なごし の はらい)の一環として 茅の輪くぐり(ちがや の わ くぐり)を実施しています。
夏越の祓は 6 月 30 日に全国の神社で実施される神道の儀式です。この儀式の目的は、次のとおりです。
- 1 年の前半に溜まった罪や穢(けがれ)を祓う
- 1 年の後半の無病息災を祈る
茅の輪を八の字に 3 回くぐることで、心身の穢を落とすことで厄災から逃れることができるといわれています。
下谷七福神(寿老人)
元三島神社の寿老人は、下谷七福神(したや しちふくじん)の 1 つです。下谷七福神とは、台東区の下谷、根岸、三ノ輪にある 7 つの神社と寺院に祀られている七福神のことです。
下谷七福神の特徴は、それぞれの社寺の距離が近いことです。すべてを徒歩でめぐっても 1 時間から 1 時間 30 分くらいです。
下谷七福神の詳細については、次の記事を参照してください。
各種情報
社務所の受付時間
- 不明(参拝はいつでも可能)
電話番号
- 03-3873-4976
住所
- 〒110-0003 東京都 台東区 根岸 1-7-11
地図
アクセス(電車)
- JR 山手線の 鶯谷駅(北口)から徒歩 1 分
- 京浜東北線の 鶯谷駅(北口)から徒歩 1 分
アクセス(めぐりんバス)
- 北めぐりん(根岸まわり)の 鶯谷駅北 停留所(停留所の番号:14 番)から徒歩 3 分
めぐりんバスは台東区のコミュニティ バスです。台東区を観光する場合、めぐりんバスはとても便利です。めぐりんバスの詳細については、つぎの記事を参照してください。
アクセス(都営バス)
- 都営バス(草 41)の 鶯谷駅前 停留所 から徒歩 3 分
公衆トイレの有無
- なし(鶯谷駅の前のローソンにトイレがあります)