東京の浅草地区には、たくさんの神社や寺院があります。その中には、七福神を祀っているところがいくつかあります。その中の 9 つの神社と寺院に祀られている七福神は、特に「浅草名所七福神(あさくさ などころ しちふくじん)」と呼ばれています。
この記事では、浅草名所七福神に関するさまざまな情報を紹介します。浅草名所七福神に含まれる神社と寺院、その概要、そしてお勧めのルートなどのお役立ち情報をご紹介します。浅草名所七福神めぐりをする際の参考にしてください。
七福神とは
七福神とは、幸運をもたらすと言われている 7 柱の神さまのことです。室町時代の末期ごろ(16 世紀ごろ)、インド、中国、そして日本の神と仏を寄せ集めた七福神の原型が完成しました。また、江戸時代 (17 世紀)になると、正月に七福神を訪れて幸運を願う七福神めぐりが広まりました。
一般的な七福神は、次のとおりです。
- 大黒天
- 恵比寿天
- 弁才天
- 毘沙門天
- 布袋尊
- 寿老人(寿老人)
- 福禄寿
浅草名所七福神とは
「浅草名所七福神」とは、東京都の台東区と荒川区にある、以下の 9 つの神社と寺院に祀られている七福神を指します。
- 大黒天:浅草寺
- 恵比寿:浅草神社
- 弁財天:吉原神社
- 毘沙門天:待乳山聖天
- 布袋尊:橋場不動尊
- 寿老神:石浜神社と鷲神社
- 福禄寿:矢先稲荷神社と今戸神社
この浅草名所七福神を訪れる習慣は、江戸時代の末期(19 世紀)に始まったと言われています。第 2 次大戦後、その習慣は中断されました。しかし、昭和 52 年(1977 年)に復活して今日に受け継がれています。
通常、七福神めぐりは正月に行うのが良いとされています。その理由ですが、正月に行うことでその年の幸運を祈れるためです。
しかし、浅草名所七福神めぐりは一年中行えます。ただし、それぞれの神社と寺院が七福神の像を公開しているのは、正月のみです。また、浅草神社は正月でも恵比寿の像を公開していません。
授与品(縁起物)
「浅草名所七福神めぐり」では、通常のご朱印以外にも授与品(縁起物)があります。縁起物とは、いいことが起こることを祈るためのものです。
「浅草名所七福神めぐり」の授与品(縁起物)は、次のとおりです。
- 色紙
- 福笹
- 福絵
色紙
浅草名所七福神めぐり専用の色紙です。9 つすべての神社と寺院でご朱印をもらうことで完成します。この色紙は、浅草名所七福神の神社や寺院で買えます。ちなみに、この色紙の値段は 1 枚 300 円です。また、ご朱印は神社や寺院ごとに 300 円です。
福笹
笹の小枝です。これにお参りした神社や寺院の七福神の福絵馬を取り付けます。この福笹は、浅草名所七福神の神社や寺院で買えます。笹は 1 本 600 円、福絵馬は神社や寺院ごとに 300 円です。
福絵
七福神が描かれた絵です。浅草名所七福神の神社や寺院の名前が書かれており、そこにご朱印をいただきます。この福絵も神社や寺院で買えます。福絵は 1 枚 500 円、ご朱印は神社や寺院ごとに 200 円です。
浅草名所七福神と神社・寺院
大黒天(浅草寺)
大黒天は金運と仕事運の神さまです。浅草名所七福神の大黒天を祀っているのは、浅草寺(せんそうじ)です。
浅草寺は、東京の台東区浅草にある寺院です。聖観世音菩薩(しょう かんぜおん ぼさつ)を本尊とすることから、浅草観音とも呼ばれています。また、浅草寺は約 1,400 年の歴史を持つ、東京都でもっとも古い寺院です。
浅草寺の詳細については、次の記事を参照してください。
恵比寿天(浅草神社)
恵比寿天は商売繁盛の神さまです。浅草名所七福神の恵比寿を祀っているのは、浅草神社(あさくさ じんじゃ)です。
浅草神社は、東京の台東区浅草にある神社です。地元の人には三社さまとも呼ばれて親しまれています。また、例大祭である三社祭は 200 万人以上の人出を数える江戸三大祭のひとつです。
浅草神社の詳細については、次の記事を参照してください。
弁財天(吉原神社)
弁財天は芸事や金運の神さまです。浅草名所七福神の弁財天を祀っているのは、吉原神社(よしわら じんじゃ)です。
吉原神社は、東京の台東区千束にある神社です。吉原遊郭にあった 5 つの稲荷神社と吉原弁財天とがひとつになった神社です。吉原遊郭の遊女が深く信仰していたことから、現在でも女性のいろいろな願いを聞いてくれる神社として有名です。
吉原神社の詳細については、次の記事を参照してください。
毘沙門天(待乳山聖天)
毘沙門天は勝負運の神さまです。浅草名所七福神の毘沙門天を祀っているのは、待乳山聖天(まつちやま しょうでん)です。
待乳山聖天は、東京の台東区浅草にある寺院です。聖観音宗の寺院で、浅草寺の支院でもあります。この寺院では、参拝のときに大根をお供えすることでも有名です。また、この寺院の浴油祈祷は、効果が高いことで知られています。
待乳山聖天の詳細については、次の記事を参照してください。
布袋尊(橋場不動尊)
布袋尊は子宝や夫婦円満の神さまです。浅草名所七福神の布袋尊を祀っているのは、橋場不動尊(はしば ふどうそん)です。
橋場不動尊は、東京の台東区橋場にある寺院です。1,200 年以上の歴史を持つ、天台宗の寺院です。吉原大火、関東大震災、東京大空襲など、東京は何度も大火災に見舞われました。しかし、この寺院の周辺はそれらの難から逃れたため、「火伏せの橋場不動尊」と呼ばれています。
橋場不動尊の詳細については、次の記事を参照してください。
寿老神(石浜神社と鷲神社)
寿老神は長寿の神さまです。浅草名所七福神の寿老神を祀っているのは、石浜神社(いしはま じんじゃ)と鷲神社(おおとり じんじゃ)です。
石浜神社は、東京の荒川区南千住にある神社です。およそ 1,300 年の歴史を持ち、荒川区でもっとも古い神社です。特徴的な形の鳥居、数多くの境内社や指定文化財など、この神社には見どころがたくさんあります。
石浜神社の詳細については、次の記事を参照してください。
鷲神社は、東京の台東区千束にある神社です。日本で一番大きな酉の市で有名です。また、鷲神社は「東京下町八福神 (下町八社)」のひとつでもあります。
鷲神社の詳細については、次の記事を参照してください。
福禄寿(矢先稲荷神社と今戸神社)
福禄寿は健康や学問の神さまです。浅草名所七福神の福禄寿を祀っているのは、矢先稲荷神社(やさき いなり じんじゃ)と今戸神社(いまど じんじゃ)です。
矢先稲荷神社は、東京の台東区松が谷にある神社です。この神社は、かつて浅草にあった江戸三十三間堂を守護していました。この神社の拝殿の天井に飾られている、乗馬をモチーフにした 100 枚の絵はとても有名です。
矢先稲荷神社の詳細については、次の記事を参照してください。
今戸神社は、東京の台東区今戸にある神社です。縁結びと金運で有名なです。また、猫神社としても知られており、境内のあちらこちらに招き猫があります。今戸神社は「東京下町八福神(下町八社)」の 1 つでもあります。
今戸神社の詳細については、次の記事を参照してください。
おすすめの巡回コース
浅草名所七福神の場所
浅草名所七福神の神社や寺院は、その場所をもとに以下のように分けられます。
- 浅草寺と浅草神社(同じ敷地内)
- 待乳山聖天と今戸神社(歩いて 5 分ほどの距離)
- 鷲神社と吉原神社(歩いて 5 分ほどの距離)
- 橋場不動尊と石浜神社(歩いて 3 分ほどの距離)
- 矢先稲荷神社
徒歩で訪れる場合のおすすめコース
個人的には、浅草寺、もしくは浅草神社のいずれかから出発することをおすすめします。その理由は、最寄り駅の浅草駅から近いからです。他の神社や寺院はそれぞれの最寄り駅から 10 分以上歩く必要があります。
浅草寺から徒歩で出発する場合の例は、次のとおりです。
徒歩の場合のおすすめコースの例
- 1 か所目浅草寺参拝後は徒歩で移動(徒歩 1 分くらい)
- 2 か所目浅草神社参拝後は徒歩で移動(徒歩 15 分くらい)
- 3 か所目矢先稲荷神社参拝後は徒歩で移動(徒歩 20 分くらい)
- 4 か所目鷲神社参拝後は徒歩で移動(徒歩 5 分くらい)
- 5 か所目吉原神社参拝後は徒歩で移動(徒歩 20 分くらい)
- 6 か所目橋場不動尊参拝後は徒歩で移動 (徒歩 5 分くらい)
- 7か所目石浜神社参拝後は徒歩で移動 (徒歩 20 分くらい)
- 8 か所目今戸神社参拝後は徒歩で移動 (徒歩 5 分くらい)
- 9 か所目待乳山聖天
上記の所要時間は、あくまでも目安です。あなたが浅草地区に詳しくない場合、もう少し時間がかかるかもしれません。
バスで訪れる場合のおすすめコース
浅草名所七福神をバスで訪れる場合、台東区が運営するコミュニティ バスの「めぐりん」がおすすめです。その理由は、手ごろな料金で台東区内を気軽に移動できるからです。
めぐりんバスの乗車料金は 1 回ごとに 100 円です。しかし、300 円の一日乗車券がおすすめです。一日乗車券を使うと、すべてのめぐりんバスが 1 日乗り放題になります。1 日乗車券は、めぐりんの車内で購入できます (現金のみ)。また、雷門前の浅草文化観光センターでも購入できます。
「めぐりん」の詳細については、次の記事を参照してください。
「めぐりん」を使ったおすすめのコースは、つぎの記事をお読みください。