イベント:浅草酉の市が年の瀬を告げる 2022

浅草酉の市(東京・台東区) イベント
浅草酉の市(東京・台東区)

東京下町ガイド の「イベント」カテゴリでは、東京の下町エリアで行なわれる期間限定のイベントを紹介しています。あなたの東京観光におすすめのイベントを毎回 1 つ取り上げます。

今回取り上げるのは、浅草の季節の風物詩である 浅草酉の市(あさくさ とりのいち)です。

早いもので 2022 年も残り 2 か月を切りました。あちらこちらで年の瀬を告げる催し物が始まっています。浅草酉の市(あさくさ とりのいち)もその 1 つです。

浅草酉の市は、台東区の 長國寺(ちょうこくじ)と 鷲神社(おおとり じんじゃ)が共同で開催する例大祭です。ウィキペディアによると、浅草酉の市は、日本で最大規模の酉の市とのことです。

その名のとおり、浅草酉の市は毎年 11 月の 酉の日 に開催日されます。2022 年の開催日は、11 月 4 日(金)、16 日(水)、および、28 日(月)の 3 日間です。

今年(2022 年)は、11 月 4 日(金)の深夜 1 時過ぎに浅草酉の市に行ってきました。もちろん、今回も友人たちと一緒です。

今回の記事では、そのときの様子を紹介します。あなたが東京の下町や浅草を観光する際の参考にしてください。

この記事は英語版もあります。詳細については、次の記事を参照してください。

浅草酉の市の開催日

浅草酉の市(東京・台東区)
浅草酉の市(東京・台東区)

冒頭にも述べたとおり、今年(2022 年)は 3 回あります。最初の酉の市の日を 一の酉(いちのとり)、2 回目の酉の市の日を 二の酉(にのとり)、そして、3 回目の酉の市の日を 三の酉(さんのとり)といいます。

2022 年の浅草酉の市の開催日

  • 一の酉:2022 年 11 月 4 日(金)
  • 二の酉:2022 年 11 月 16 日(水)
  • 三の酉:2022 年 11 月 28 日(月)

参考:2023 年の浅草酉の市の開催日(予定)

  • 一の酉:2023 年 11 月 11 日(土)
  • 二の酉:2023 年 11 月 23 日(木)

行き方(アクセス)

浅草酉の市の会場となる長國寺と鷲神社は、どちらも浅草国際通り沿いにあります。最寄り駅は、つぎのとおりです。

  • 日比谷線の 入谷駅(3 番出口)から徒歩 8 分
  • 日比谷線の 三ノ輪駅(1b 出口)から徒歩 7 分
  • つくばエクスプレス線の 浅草駅(A1 出口)から徒歩 10 分

基礎知識

浅草酉の市の目的

浅草酉の市(東京・台東区)
浅草酉の市(東京・台東区)

浅草酉の市は、台東区の 長國寺(ちょうこくじ)と 鷲神社(おおとり じんじゃ)が共同で開催する例大祭です。浅草酉の市の目的は、次のとおりです。

  • 神さまに今年一年の無事を報告する
  • 来年の幸運と商売繁盛を祈願する

長國寺と鷲神社が浅草酉の市を一緒に開催する理由は、2 つ考えられます。

1 つめは、江戸時代まで鷲神社は長國寺の一部だったからです。1868 年(明治元年)に明治政府が神仏分離令を発行した際、長國寺にあった 番神堂(ばんじんどう)が鷲神社として独立した経緯があります。

2 つめは、長國寺も鷲神社も「お酉さま」を祀っているからです。長國寺のお酉さまは、鷲妙見大菩薩(わし みょうけん だいぼさつ)です。鷲神社の「お酉さま」は、天日鷲神(あめ の ひわし の かみ)です。

長國寺と鷲神社の詳細については、以下の記事を参照してください。

浅草酉の市の始まり

浅草酉の市(東京・台東区)
浅草酉の市(東京・台東区)

興味深いことに、浅草酉の市の起源は長國寺と鷲神社で異なります。今回は、長國寺の公式 Web サイトに記載されている説を補足・要約したものを紹介します。

長國寺は法華宗本門流の寺院です。法華宗本門流は 日蓮(にちれん)を宗祖とする宗派です。また、大本山の 1 つに千葉県の茂原 鷲巣(わしのす)にある 鷲山寺(じゅせんじ)があります。

1265 年(文永 2 年)、日蓮は鷲山寺に滞在していました。彼が国家平穏を祈願していると 鷲妙見大菩薩 が現れたとのこと。それが 11 月の酉の日だったのです。

鷲妙見大菩薩は、剣を持って鷲の背に乗った 妙見菩薩(みょうけん ぼさつ)です。なお、妙見菩薩は、北極星や北斗七星を神格化した軍神です。

1771 年(明和 8 年)、長國寺の第 13 代住職である 日玄(にちげん)は、鷲山寺から長國寺に鷲妙見大菩薩を勧請(かんじょう)しました。勧請とは、神さまや仏さまの分霊を他の場所で祀ることです。

日蓮の前に鷲妙見大菩薩が現れたのは 11 月の酉の日です。そのため、長國寺では毎年 11 月の酉の日に鷲妙見大菩薩を開帳するようになりました。これが浅草酉の市の始まりです。

浅草酉の市が人気になった理由

引用元:国立国会図書館の「江戸切絵図(今戸箕輪浅草絵図)」

浅草酉の市は、日本最大の規模を誇る酉の市です。ウィキペディアによると、この酉の市には毎年 70 万人から 80 万人の人出があるとのことです。

浅草酉の市が人気になった理由は大きく 2 つあります。1 つめは浅草が近くて便利な場所であったことです。そして、2 つめは近所に 吉原遊郭(よしわら ゆうかく)があったことです。

江戸時代の地図を見ると、長國寺と鷲神社(当時は鷲明神)の近くに吉原遊郭があったことがわかります。

通常、吉原大門(よしわら おおもん)が吉原遊廓の唯一の入り口でした。長國寺は吉原遊廓の近所ででした。しかし、長國寺からは吉原大門に行くためには、遠回りをしなければなりませんでした。

浅草酉の市の日のみ、吉原遊郭はお歯黒どぶに跳ね橋をかけました。これにより、遠回りをしなくても吉原遊郭に入ることができました。そのため、浅草酉の市の帰りに遊郭で遊ぶ人たちが多かったとのことです。

吉原遊廓の詳細については、つぎのブログ記事を参照してください。

浅草酉の市に関する伝承

浅草酉の市(東京・台東区)
浅草酉の市(東京・台東区)

三の酉は火事が多い

「三の酉がある年は火事が多い」という言い伝えがあります。その根拠は諸説ありますが、その 1 つが吉原遊廓に関連するものです。

長國寺や鷲神社の近所には吉原遊廓がありました。そのため、浅草酉の市にかこつけて吉原遊郭に遊びに行く男性がたくさんいました。それを快く思わないのが男性の妻たちです。

彼女たちは夫が吉原遊郭に行かないようにするため、「三の酉は吉原が火事になるから行かない方がいい」と釘をさしたとのことです。

熊手は玄関に向けて飾る

酉の市では、かっこめ(熊手御守)と呼ばれる縁起物の熊手を買うことができます。この熊手には、幸運や金運をかき込みたい願いが込められています。

一説によると、幸運や金運は家の玄関から入ってくるとされています。そのため、熊手は玄関に向けて飾ると必要があります。これは、玄関から入ってきた幸運や金運を効率的にかき込むためと考えられます。

所感

浅草酉の市の開始時間は午前 0 時です。しかし、過去の経験から開始直後はとても混雑していることが予想されました(下町っ子はせっかちです)。混雑を少しでも避けるため、私たちは午前 1 時 30 分ごろに会場に向かいました。

浅草酉の市の日の前日は、浅草国際通り沿いで遅くまで営業をしている店がいくつかあります。私たちも行きつけの店で午前 1 時くらいまで食事や酒を楽しみました。

今年の浅草酉の市は、昨年よりも規制がゆるくなっていました。昨年は入り口での検温や手指の消毒を徹底していました。しかし、今年はそれほど厳しくありませんでした。

新型コロナ ウィルス感染症が流行する前に比べると、人出はかなり減っている印象があります。しかし、2020 年に比べると 2021 年(昨年)と2022 年(今年)は確実に人が増えています。

私たちは、馴染みの店で縁起物の熊手をそれぞれ購入しました。私が購入した熊手は、2023 年(来年)の干支のうさぎがデザインされていました。

浅草酉の市(東京・台東区)
浅草酉の市(東京・台東区)

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